先月24日、つまりは最終金曜日に始まった「プレミアム・フライデー」。
午後3時で仕事を終わらせて早く帰ろう、そして、少し長めの週末を楽しもうというのがその趣旨でありスローガン。しかし、報道によると「そんなに早く帰れない!」というほとんどだった模様で、ハフィントンポストのアンケートでは、84%が「午後3時に帰れない」と回答していた。
また、様々な企業がプレミアム・フライデーをターゲットとしたキャンペーンを実施していたが、それらを利用したという人は、同アンケートではたったの5%だったとのこと。

なにせ、プレミアム・フライデーで恩恵を受けるのは、いわゆる「9時-5時」で働く従来型のサラリーマンだけ。
その人たちにサービスをするサービス業の人は逆に忙しくなるわけで、早く帰れるという恩恵はない。
(結果的に、プレミアム・フライデーを楽しむ人がそれほど多くなく、忙しくならかなったというのは皮肉だが。)
日本経済に占めるサービス業界の割合は増加していて、1970年から2010年で、GDPでは10%から21%に、従業員数では14%から33%となっている。(平成26年 内閣府「サービス産業の生産性」より)
2017年の現在、さらに高くなっているはずだ。
こういう中で、果たして「スローガン」は、全国民向けのものとして正しいのか?ということになる。

プレミアム・フライデーは「政府」の企画ではあるが、実質的には経済産業省が大元になって経済効果を狙ってのもの。
そのためなのか、他の省庁との連携が全く取れていないというか、ちっとも動いていないのが大きな問題だと言える。

例えば、労働行政を司る厚生労働省が、労働者が3時に帰れるようになにか動いたかというとそうでもない。
当日の夜に経済産業省の調査は電気が消えていたが、厚生労働省ではほとんどの部屋で照明が灯っていたいたというのはネットで話題になった話。
そもそも、3時に帰らなかった場合は残業になるのか?というルールすらできていない。
また、厚生労働省がハローワークを通じてやっている職業訓練はきっちり定時までやっていて、訓練受講者はともかく、そこで教えている講師や訓練校のスタッフは3時に帰ることができない。
実際、私もその日は訓練出講日で定時まで授業をしていた。

また、学校行政を司どる文部科学省も動いていないので、生徒・学生は定時まで授業はある。
教職員が帰れないのはいうまでもないが、生徒・学生が与える影響も無視できない。
「仕事は3時に終わって少し長めの週末旅行を」といったところで、親が学生・生徒である子供を連れて旅行に行くには早退させるということになるから非現実的な話。
じゃあ、「月末金曜日の授業は3時まで」ということになると、大学や専門学校では授業の科目は週1回がほとんどなので、その金曜日3時以降に当たった授業は、他の科目に比べて年間授業回数が少なくなってしまう。
プレミアム・フライデーは毎月のことであるから、これはハッピーマンデーで授業回数が減る月曜日授業(年4回)よりも深刻な問題だったりするわけで、学校の授業を失くすのはこれも全く現実的ではない。
加えて、プレミアム・フライデーで金曜夕方は飲食業やサービス業が忙しくなると予想されていたが、それらの業界では学生アルバイトが主戦力。
それこそ居酒屋なんかは学生アルバイトがいなければ回らないところも多いのでは?と思うが、まさか、政府の企画なんだからアルバイトを優先して学校を早退しろというのはありえない話。
今回は大学も専門学校ももう休みに入っている時期だったし、また、結果的にそれほど多忙にならなかったからこの問題はクローズアップされなかったものの、4月以降はそうもいかないだろう。

どうも、企画と現実のチグハグさや調整不足が目立つ「プレミアム・フライデー」。
なんだか、高度成長期やバブル期の「華金(華の金曜日)」という言葉が企画者の頭にこびりついていて、現在の現実から遊離してしまってるんじゃないかという気すらする。
いくら初回だといっても、これでは「失敗企画」の誹りは免れないし、今後も続けるのであれば、相当熟慮して抜本的な企画再検討を行う必要があるだろう。