昨日は、国立文楽劇場に文楽鑑賞に。
文楽は国の重要無形文化財であり、ユネスコの無形文化遺産。
人形浄瑠璃の一種で、義太夫節で語りをする太夫と三味線弾き、人形遣いの「三業」で成り立つもの。
とくに1体の人形を、主遣い、左遣い、足遣いの3人で操るのが特徴だ。
 
文楽は高校の学校行事で見て以来(つまり約30年振り)で、当時の演目すらもう忘れてしまったレベル。
しかし最近、古典芸能をモチーフにした漫画を読んでいるので、見に行きたいと思っていた。
それがラッキーなことに、講義に行ってる大阪航空専門学校の行事のご相伴に預かることができたのだった。
4月にこの話があり、この日が来るのをずっと楽しみにしていた。
おまけに、中央7列目というとてもいい座席ポジション!
 
今回の演目は、出だしに行う縁起物である「ニ人三番叟」に文楽解説、そしてメインとなる「絵本太功記」の3つ。
「太閤記」が豊臣秀吉の一代記なのに対して、「太功記」は明智光秀(作品の中では武智光秀)が本能寺の変を起こしてから、山崎の合戦を経て、小栗栖で落命するまでの13日間を13段として描いたもの。(これに、発端となる1日=1段が加わる)
一番の山場となるのが、「太十」とも呼ばれる十段目「尼ヶ崎閑居の段」で、今回演じられたのもこの段。
これは考えれば面白いことで、1回の講演で演じられるのは物語の一部だけ。
前提や背景、演じられる段の前の話も後ろの話も、観覧者は「わかっていることが前提になっている」ということになる。
 
ストーリーについては、国立文楽劇場のサイトをはじめ、いろんなところで出ているのであえて説明しないが、内容はとてもよかった。
三業が見事に噛み合い、絡み合い、太夫の声、三味線の音は耳に飛び込まんばかりに響いてくる。
人形遣いも、確かにそこで人形を操っていて、ましてや、主遣いは顔を晒しているのだが、見ているうちにその存在が消えて、人形が自律的に動いているかのごとく見える不思議。
仕草で感情を豊かに表すのは当たり前、人形の手で三々九度の盃までとってしまうのには驚くしかない。
今回は学校の貸切ではなく、一般の観覧者と一緒で、小学校や中学校の学校行事で来たのであろう集団もいた。
開演前は、もしかしたら、彼らが退屈して公演中に私語でうるさかったり、ざわついたりしないかと心配したのだが、そんなことはなく終始静かであった。
もしかしたら、三業の演技の迫力、圧が彼らを圧倒したのかもしれない。
 
古典芸能の台詞は古語なので意味がわからないと思われがちだが、こと国立文楽劇場においては、舞台上部に台詞が表示されるので十分に意味が理解できる。
もっとわかりたければ、イヤホンガイドもあり、いまどきの文楽は鑑賞者にやさしい。
なにしろ、演目の内容はとても面白いし、若手会のタイミングであれば入場料も安い。
「文楽はちょっと敷居が高いなー」と思っている人も大丈夫なので、お試しあれ。
(ただし、前述のとおり物語の前提は知っておかなければいけないが。)
 
今回、私が読んだ漫画「でしにっき」(上島カンナ・作、comicoにて連載)に登場した三味線弾きの鶴澤友之助さん、「火色の文楽」(北駒生・作、コミックゼノンにて連載)で題字を書いたりなどされた豊竹咲寿太夫さんも出演されていた。
聞いた(見た)ことがある名前の人がいるだけでなんとなく嬉しかったりする。
(ちなみにこの両名、若手のイケメンとして人気だそうな。)
 
こんな面白い機会を下さった、大阪航空専門学校に大感謝。
他に見たい演目もあるので、今度は自分から行ってみようか。