2018年10月 天理・龍王山へ

今日は奈良・天理の龍王山にハイキング。
標高は586mしかないし、決して有名な山ではないのだけれども、8月末から登りたいと思っていた。
というのも、某奈良県の登山コースを紹介する本で「晴れた日には大阪湾から明石海峡大橋まで望むことができる。」と書かれていたため。
龍王山は奈良盆地の東側にあり、大阪方面には標高1,125mの金剛山を筆頭に金剛・生駒山地が横たわっている。
それを抜けて大阪湾方面が見えるということが信じられなかったからだ。

快晴のなか、登山開始は9:00、JR柳本駅にほど近いトレイルセンターから。
センターでは子猫が2匹を連れた猫の親子が見送ってくれた(?)。
センターから竜王山山頂への主なルートは、長岳寺ルートと崇神陵ルートの2つでいずれも4kmの道のりだが、登りは長岳寺ルートを取る。
それほどキツい道ではないのだが、7月の豪雨、9月の台風で相当荒れていた。
そもそも、この10月下旬まで登るのを延ばしていたのは、道荒れで通行止めだったからなのだが。

登ること2時間弱、11:00頃に山頂部に到着。
龍王山山頂一帯は、戦国時代には龍王山城という山城で、北城、南城の2つで成る規模は大和国随一だったらしい。
(ただし、今は建物などは何も残っていない。)
山頂、および、三角点は南城のあったところにあり、眺望もここからが一番良さそう。
で、目的の「大阪湾」であるが、結論から言うと「見えた!」。
かすみがかかっていて、明石海峡大橋までは見ることができなかったものの、金剛山系と生駒山系の切れ目を縫い、ちょうど大和川が奈良県から大阪府に流れるあたりから遠望することができた。
なるほどねー、ここかー。

これで納得し、今回はついでに山越えでさらに東方、笠荒神のところにある「笠蕎麦」に。
ここには数年前に食べに来たたことがあるのだが(その時は車で来た)、ひじょうにおいしかったので、ここまで来たのならばということで約1km先まで足を延ばした。
相変わらず美味しいのだが、残念ながら新蕎麦の時期には1か月ほど早かったらしい。

戻りは崇神陵ルートから。
途中、長岳寺奥の院に寄る。
奥の院とはいうものの、なんらお堂などの建造物があるわけではなく、約2mの不動明王の石像が一体立っているのみ。
鎌倉時代後期に作られた不動明石仏の傑作らしいのだが、文化財指定もされていないのは、堂宇もなく野ざらだからか?
下り道中は、龍王山古墳群を抜けて歩く。
天理・柳本のあたりは、崇神陵古墳、景行陵古墳、黒塚古墳などの大型古墳が多くある古墳群なのだが、そことは別に自然の地形を利用して横穴式石室による小型古墳が集中しているのがこの竜王山古墳群。
いくつかは、石室が口を開けていて中を見ることすらできる。
ただし、個々の墳丘の案内標識すらなく、「龍王山古墳群」という看板も文字がはげ落ちており、知らずに来た人にはここが古墳であることすらわからないだろう。
学術的には既にあまり価値がないのかもしれないが、観光資源としては十分に価値があると思われるのにもったいない話だ。
(思い出せば、龍王山山頂の標識も、長岳寺奥の院の説明看板もなかった。)

元のトレイルセンターに戻ったのが15:00頃。
約10kmの全行程、気持ちのいい気候の中歩けた。
おまけに、途中でキツツキが木を叩いているのを、かなり近い距離で聞くことができた。
探したが姿は見えなかったものの、山の中でキツツキの音が近くで聞こえるのは意外となく、気持ちが和むハイキングであった。

トレイルセンターの子猫2匹。 まだ人にはあまり慣れてない。

トレイルセンターの子猫2匹。 まだ人にはあまり慣れてない。

竜王山山頂から大阪方面。

竜王山山頂から大阪方面。 左側が金剛山系(2つポコッと出ているのは二上山)、右側が生駒山系で、両方の間のへこんだ部分から大阪湾がかろうじて見える。

 

龍王山山頂から見える大和三山。

龍王山山頂から見える大和三山。 右から耳成山、畝山、香具山。 後方の高い山が金剛山。

 

長岳寺奥の院の不動明王石仏。 立派なお姿。

長岳寺奥の院の不動明王石仏。 立派なお姿。

 

龍王山古墳群にある墳丘の1つ。 石室が置くまで見えるが、案内文ひとつない。

龍王山古墳群にある墳丘の1つ。 石室が置くまで見えるが、案内文ひとつない。