三輪山と山の辺の道を歩く

今年ももう3月。
「雪が降らないなぁ。寒いだけだと登山のしがいがないなぁ」と思っている間に、ろくに雪山の登ることはできなかったので、体がなまり気味。
そこでリハビリで軽くどこかに登ろうということで、昨日は三輪山(奈良県・桜井市)に登り、また、それだけではものたりないので山の辺の道を歩くことにした。

まずは9:30にJR三輪駅を出発。
三輪山は標高467.1mの低山。
まずはこの山体そのものを御神体とする大神神社に参拝する。
大神神社は祭神を大物主大神とし、記紀にも創祀伝承がある日本有数の古社。
縄鳥居や、山体や岩(磐座)が御神体になっているところは、原初の信仰の姿を表していると言われている。

三輪山は標高467.1mの低山だが、上記のとおり御神体なので、ここに登ることは「登山」とは言わずに「登拝」と呼ぶ。
登拝には麓の摂社狭井神社(本社の荒魂で祀る神社でもある)で受付をしてもらう必要がある。
白装束の代わりの襷をつける、道中は水以外の飲食禁止、山の中でのことは他言無用、といった様々な掟を守ることを約束する人でないと登拝の許可が下りない。
水は狭井神社の井戸に湧く神水を持って行くのが定番。
登拝開始は10:30。
往復約2時間の道行きであったが、掟のとおり道中のことは書かないでおく。

引き続き、山の辺の道を天理方面に北上していく。
山の辺の道は、奈良盆地東端を南北に貫く古代の幹線道路だが、今は天理から桜井までの南半分が、里山や農地沿いを歩くコースとして整備されている。
全部歩くと相当の距離だが、JR桜井線(万葉まほろば線)が沿っているので、自分の体力に合わせて歩く距離を決めればいい。

山の辺の道南半分の大きな特徴としては、大和古墳群エリアにあたるので、古墳だらけということが挙げられる。
ちょっと小高く木々に覆われた丘があればそこはまず古墳。
まあ、奈良といえば県全体がそうだといえばそうなのだが。
今回私が寄った(横を通った)中で有名どころとしては、景行天皇陵、崇神天皇陵、黒塚古墳など。
しかし、古墳だけが見どころではなく、元伊勢と呼ばれ天照大御神を祭神とする檜原神社、相撲発祥の地と言われる相撲神社、纒向遺跡なども見て回った。

歩いて3駅分、今回はJR長柄駅近くの大和神社(おおやまとじんじゃ)までとした。
この神社の祭神は日本大国魂大神(倭大国魂神)。
やはり古代(崇神天皇の頃)からある古社で、創祀は上記の檜原神社とセットなので、両方参拝するのが望ましいかも。
また、この神社は戦艦大和ゆかりの神社としても知られている。
その名前から、戦艦大和の艦内神社はここから勧請されたそうで、また、参道は艦の長さとほぼ同じ(270m)だそう。
昨日は参拝者もほとんどなかったが、4月1日の「ちゃんちゃん祭り」と呼ばれる祭礼と秋の奇祭「紅幣(べにしで)踊り」のときには大勢の人々で賑わう地元に親しまれている神社だ。

長柄駅あたりで17:00。
考えれば約8時間ほど歩き続けたことになるので、いい運動だった。
昨日はとても天気がよく、早春の里道は歩いていて気持ち良かった。
梅は満開、菜の花も咲き、ウグイスがさえずり、1羽ではあるが紋黄蝶が舞うのも見た。
はっさくの果樹園もあり、無人販売所がそこら中に。

山の辺の道は四季のいつでも楽しめるところなので、気がむいたらふらっと歩きに行ける絶好のハイキングコース。
ただし、道中には食事処はおろか、コンビニすらないので、お弁当はぜったい忘れないように。

大神神社の入口。参拝者が大勢。
纏向遺跡。大和王権発祥の地ということ。
相撲神社。横に野見宿禰の顕彰碑。
崇神天皇陵。
黒塚古墳。前方後円墳で、正面が後円部。
大和神社本殿。