北アルプス・唐松岳へ(その2)

【2日目】
 
雑魚寝になる山小屋では、寝床スペース確保のため、また、イビキをかく人がいるため早く寝てしまった者が勝ち!
9時消灯だがその前に寝る人も多い。
その逆に、早立ちをする人や御来光を見るのに良い場所を確保しようとする人が多いので朝は早い。
3:30頃には準備のためにゴソゴソと周りは動き出すし、4:00には小屋内の明かりが点灯、4:30には早立ちの人のための朝食タイムとなる。
この日の日の出は4:45分。
私も曙光から御来光まで見るために3:30に起きて、ヘッドライトを付けて外に出たが、もうテント泊の人がコンロで朝食準備をしていた。
空がほんの少しだけ白み始めると、近隣の山々がシルエットとして浮かんでくる。
ここ唐松岳は白馬岳から五竜岳の上級者向け縦走路の途上にある(もっと上級者は五竜岳から鹿島槍ヶ岳まで行く)が、左右の山のシルエット上には早々に縦走スタートをした人のヘッドライトの明かりがチラホラと。
真っ暗闇の中で山道を歩くのだけでもスゴいのだが、白馬岳方向は「不帰(かえらず)のキレット」と呼ばれる尾根の左右とも切り立った
急峻な道を上り下りするルート、五竜岳方向は「牛首」と呼ばれる最大斜度40度の鎖場がいきなり続くルートと、いずれも足を踏み外すと命に係わるところ。
そんなところをヘッドライトだけで歩くとは上級者スゲー!と思う。
私は昨日のうちに牛首の入口まで行ってみたが、高度感がすごくあり、夜間はおろか昼間でもとてもとても・・・。
 
そんな様子を見ながら、山小屋の裏手の尾根に上がって日の出を待っていると、いよいよ東の空が赤く染まってきた。
天気が良ければ妙高山方面や南アルプス、場合によっては富士山まで見えるとのことだが、あいにくこの尾根から東側遠方には雲がかかっていて妙高山や雨飾山のてっぺんが少し見える程度で残念。
その分、下に広がる雲海が望めたのだが。
雲の上に太陽が頭をだしたの4:45、御来光を見に上がってきた大勢の人からは自然と拍手が巻き起こった。
それまでけっこう寒かったのが、日が上がるとみるみると気温が上がってくるので太陽というのは恵深いものだ。
 
 
御来光を拝んだあと、朝食までは少し時間があるので、昨日は登らなかった唐松岳山頂を目指した。
15分ほどで山頂2,695.9mの二等三角点を踏む。
今日は尾根西側には雲がほとんどなく、山頂から白馬方面、劔・立山方面、五竜岳方面と360度の眺望が素晴らしい!
この美しさは言葉では表しづらい。
ずっと見ていた光景とはまさにこのことで、同じく山頂に集った人によれば、ここまでくっきりと見えるのは珍しいとのことだ。
しばし、景色を目に焼き付けた後は、白馬方面(不帰のキレット方面)に向かうヘルメット装備の人達とは逆に山小屋に戻った。
 
戻るとほどなく朝食。
ちなみに、山小屋での食事ではご飯と味噌汁、場合によっては梅干しはおかわり放題というところが多い。
ご飯はエネルギーになる炭水化物、味噌汁は登りで多く失ったであろう水分と塩分、梅干しはクエン酸という登山に必須の成分をとってもらうためだ。
今日は下りだけだが、ここは山小屋のご厚意に従って十分に摂っておく。
 
山小屋を出て下山開始は7:30。
山頂に手を振りながら、昨日は登ってきた道を戻る。
素晴らしい晴天の下で、白馬方面を山肌まではっきりと見える稜線歩きは気持ちがいい。
また、時間をあまり気にしなくて良い分、高山植物を観察する
その一方で、雲や霧がない分、一部のポイントでは昨日よりもはっきりと左右の崖下が見えるので少し怖いところもある。
少し歩くと早朝から登り始めて、おそらく日帰りであろう人達とすれ違う。
やはりこの山は日帰り可能な山ということだ。
ハイキングエリアの八方池に戻ったのは10:00頃。
今日は池に映る山々を見ることができるかと期待したが、途中で雲を抜けたらしく、もう山頂方面は雲の中に隠れてしまっていた。
スタート地点のリフト駅に戻ったのは11:00頃。
 
これが今年初の夏山、天気にも運にも恵まれ、とても良い山行であった。
御来光
唐松岳登頂!
山頂より立山連峰方面。
真ん中の三角のとがっている山が剱岳、その左側が立山。
ヘルメットの人たちは不帰のキレット方面に向かう人達。
唐松岳山頂から白馬岳方面。手前が不帰のキレット。
山小屋前から唐松岳山頂を望む。
白馬岳方面の絶景。
下山中。登る人と下る人が交錯する。