ギリシャ経済問題と貿易保険

このところ、ギリシャ経済関連のニュースが新聞やテレビをにぎわせています。
経済破綻するのか、他国からの支援があるのか、はたまた、ユーロから離脱してしまうのか予断を許さないのが現状です。
こういう状況では国の信用度が落ちて、国債の価値(国債の格付)が下がります。
実際に、ムーディーズは「Caa2」から「Caa3」に、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、「CCC」から「CCC-」にギリシャ国債の格付を下げています。

この国債格付の格下げはニュースでも出ますので知られますが、あまりニュースに出てこない格付けが貿易の分野にはあります。
その代表的なものが、貿易保険における「国・地域カテゴリー」「引受方針」です。
「国・地域カテゴリー」は、簡単に言えばカントリーリスク度を表しているものです。
OECDカントリーリスク専門家会合が、債務支払状況や経済・金融情勢等に基づいて評価を決めるたものに、日本貿易保険(NEXI)が独自の調整を加え、A~Hまでの8つに区分しています。
それに対して「引受方針」は、NEXIがその国を対象した貿易保険の保険料率や、保険種別、保険期間の限度を定めたものです。
引受方針には当然、国・地域カテゴリーが関係します。

今般のギリシャ経済問題を受け、NEXIは7月8日にギリシャの引受方針の変更を行いました。
当然、厳しい方向にです。(詳細はギリシャの引受方針変更)ちなみに、国カテゴリーは既に下から3番目のFランク、ベトナムやバングラデシュと同じです。
いわゆる西欧諸国のうちでFランクはギリシャだけですから、今の状況がどれだけ悪いかがわかるでしょう。

ちなみにこの、NEXIによる貿易保険、中小企業の利用率がまだまだ低いそうです。
むしろ大手企業のほうが「使い倒してる」といっていいほど使っているとか。
リスクを避けるのが貿易の基本ですが、多少のリスクがある案件のほうがビジネスチャンスであることも事実。
そう考えれば、大手企業は、様々なリスクを勘案し、さらに貿易保険でリスクヘッジしながらリスク案件を獲ることで「儲けている」ともいえるのかもしれません。(I)