違法な運び屋にならないように!

以前、「スーツケース貿易」の話をしたときに、「旅行などの帰りの際に、見知らぬ他人から荷物を預ったりしないように!」というお話をしました。
しかし、「知っている人からだから」といって安心できるわけでもないというのが悩ましいところです。

2010年の事件ですが、兵庫県・尼崎の妙齢の女性が、覚せい剤取締法違反(営利目的密輸)容疑で逮捕されました。
この女性はナイジェリア人男性(37歳)と知り合い、猛烈にアプローチされました。
おそらく彫りの深いイケメンだったのか、
何度か旅行を共にしていたそうです。
そして、その男性に求婚され、別れ際に「ボクがキミの国に行くよ。だから先にこの荷物を持って帰っておいてほしい。」とでも言われたのでしょうか、スーツケースを持たされました。
ところが、このスーツケースが二重底になっていて、空港での手荷物検査(税関がやってます、その中から覚せい剤約4kgが見つかり、逮捕となったわけです。
この女性、何歳だったと思いますか?
逮捕時点で71歳だったというから驚きです。

この女性としては「覚せい剤が入っているとは思わなかった。」と営利目的の密輸であることを否認しました。
しかし、71歳が37歳にプロポーズされて信じたという話の信憑性や、スーツケースを預ったのがこの1回だけでないことから、「違法な運び屋をしているという認識があったと推認できる」として懲役4年の実刑判決が下りています。

同様の事件はしばしば起こっています。
2010年には、関西でナイジェリア男性(おそらく上のものとは別人と思われます)に恋愛感情を利用して運び屋にされた女性が相次いで3人摘発されています。
※外務省によると、ナイジェリアは北米・欧州への麻薬密輸のアフリカ最大の中継地と見なされています。(海外安全ホームページ

ナイジェリアのような途上国からでなければ安心というわけではなく、2013年にはカナダ人の「恋人」から覚せい剤を隠したスーツケースを持ち帰ることを頼まれた女子大生が逮捕されています。

こういう恋愛感情を利用して違法なものの運び屋をさせる手口は「ラブ・コネクション」と呼ばれます。
海外旅行でちょっと気が大きくなっている中、そういう人を騙そうとする悪い人間に熱烈なアプローチに舞い上がってしまう。
それで捕まって人生がメチャクチャになってしまうなんて悔やんでも悔やみきれないことでしょう。
長期休暇には海外旅行に行く方は多いでしょうが、あまりハメを外し過ぎないようにしましょう。(I)