神戸税関・保税倉庫見学記 2

コンテナターミナル神戸税関見学の後は、ポートアイランド内にある保税倉庫「神戸港国際流通センター(K-DIC)」に移動です。
ポートアイランドに渡る神戸大橋を渡ると、急に、コンテナ・トラックの姿が増えます。

コンテナを積んだものだけでなく、トレーラーヘッド(コンテナトラックの運転席部分)のみがビュンビュン走っているところが、さすが港湾地域というところでしょうか。
ポートアイランドでは、東側が貨物エリアになり、林立するガントリークレーン、色とりどりの様々な船会社のコンテナが、さすが港町神戸と思わせます。

今でこそ、そういう風景ですが、そんな神戸港が大きな被害を蒙ったのが、今から20年前、1995年の阪神・淡路大震災です。
震災によって、ガントリークレーンは倒れ、液状化現象で埠頭に置かれたコンテナは海に転げ落ち、かつては世界第3位のコンテナ港であった神戸港が復旧の途上にある間に、他の港に追い抜かれてしまいました。
(いまや、日本国内でさえ第4位です。)

そういう神戸港の復興を目的に作られたのが、神戸港国際流通センター(K-DIC)です。
K-DIC長さ640メートル、奥行き50メートル、5階建てで、延べ床面積13.6万平方メートルという規模を誇る保税倉庫です。
外貿埠頭と内貿埠頭の両方に至近の場所にあり、貨物の内外結節点となることを目的に、1999年に港運会社8社が共同で設立したものです。
今回、見学したのは、この巨大倉庫です。

当日も、外貿埠頭側では、どこからの船かは確認できませんでしたが、中型コンテナ船の貨物積み降ろしを行っていました。

当たり前ですが、ガントリークレーンはもちろんのこと、トップリフターやトランステナーなど、コンテナ埠頭におなじみの機材もガンガン稼動していました。
ガントリークレーンの操縦席は、高さ30メートルはあるクレーン部分にあるというのは、知っている人は知っているお話。
その操縦席から下を見ながら貨物を掴んだり、離したりするのですから、「リアルUFOキャッチャー」と言ってもいいでしょう。
教室での授業では理解しづらい、その巨大さや積み降ろしされる貨物や機材の動きを、やっと具体的にイメージできるようになったようです。
(どうやったら、操縦士になれるのかという質問をした学生もいましたし。)
ちなみに、最近のガントリークレーンには、操縦席までエレベーターで行くことができます。
以前は、階段のみだったので大変だったとか。

K-DIC 普通倉庫このK-DICは、普通倉庫、常温倉庫、冷蔵・冷凍倉庫と各種の倉庫を備えています。
私たちがまず見学したのは、冷蔵・冷凍倉庫の方です。
内部では、私たちの見学中でも普通に作業(貨物の搬出入)を行っており、フォークリフトが動き回っています。
クルクルと回る姿は、まるで踊っているようで、学生さんたちも見入っていました。

当日は外気温30℃という日でしたから、内外の温度差55℃にもなるわけです。
マイナス25℃の冷凍倉庫に入るのはむしろ、「見学」というより「体験」と言ってもいいかもしれませんが、夏の服装では学生さんも数分も耐えることができなかったようです。
もちろん、作業員の皆さんは冬の北海道のような防寒着着用です。
休憩時には、建物外にあるベンチで休まれていましたが、あれはむしろ外で暖をとっておられたんでしょうね。

その後には普通倉庫を見学。
タケノコの水煮、蕗の水煮のような食料品、雑貨品など様々な貨物が保管されている様子を見た学生さんは、どういう感想をもたれたのでしょうか?
普段の生活ではその様子が見えづらい貿易というものが、私たちの相当身近なところにあるのだということを感じてくれていたらいいのですが。(I)