商社にもいろいろ

貿易ビジネスには色んな業種が携わっていますが、その中で真っ先に頭に浮かぶのは「商社」ではないでしょうか?
たしかに、国際ビジネスの最前線で丁々発止の契約交渉をしている姿が思い浮かびます。
といっても、全ての商社が貿易取引を行っているわけではなく、国内取引のみを行う商社もあります。
でも、ここでは貿易取引をビジネスの主軸の1つとして行う商社を意味することにしましょう。

私が教えている学生や受講生の方々には、就職先として商社を希望する人が結構います。
華々しい職場に思えるのでしょうね。そういう方々に、志望や応募した/したい商社の名前を聞くと、ほとんどが大手の総合商社の名前を挙げます。
商社というのは、表に出てくるビジネスではないため、その名前を街中やお店で聞くことはめったにありません。
なので、テレビや雑誌など一般消費者向けメディアに出てくる会社の名前しか挙がらないのは、しょうがないかもしれません。
社会人経験のない学生さんにいたっては、社名を10社も挙げることができたら、それだけでも立派といってもいいでしょう。

しかし、商社は総合商社だけではありません。
お客さんさえいればどんな商材でも扱う「総合商社」に対して、特定の商材のみを扱う「専門商社」も数多くあります。そして、機械商社や食品商社、繊維商社、医薬品商社などですが、そういった専門商社の中には、面白い商材を扱っているところもあります。
例えば、洋書を専門に輸入する商社、切花を専門に輸入する商社、ペットを専門に輸入する商社などです。
メンマを専門に輸入する商社なんていうのも見たことがあります。
会社のウェブサイトを見ると、ほんとうに特定分野に深く特化しているということがよくわかります。
そして、そういう専門商社では、そこで働く人々もその商材について専門的な知識を持つ方が多いようです。

例えば、「タケモトピアノ」という会社の名前を耳にしたことのある方は多いと思います。
同社はCMで「ピアノ売ってちょ~だ~い」と言いますが、「買ってちょ~だ~い」とは言いません。
では、売ってもらった(つまり、買い取った)中古ピアノをどうしているのかというと、メンテナンスをした後に欧米や東南アジアなど世界50カ国に輸出しています。
つまり、中古ピアノを専門に取り扱う輸出商社なわけですが、こういう会社が日本には数社あります。
(おそらくそのうちでは、タケモトピアノが一番有名だと思います。)
実は、私が教えた学生の中に、こういう中古ピアノ輸出の専門商社から内定をもらった人がいます。
その学生が言うには、最終面接の場には種類の違うピアノが数台置かれていたそうです。
そして、それぞれについて、どういう場(どういったホールという意味でしょう)で演奏されるのがふさわしいかを問われ、さらに、1曲演奏することも求められたそうです。(全ての職種ではありませんが。)
深い専門知識を武器にしてビジネスを行う専門商社だからこその面接、まさに、その分野への関心と知識とスキルを持つ人材を求めているわけですね。

人それぞれに多様な関心分野がありますが、専門商社にもそれと同じぐらい多様な分野の会社があります。
商社で貿易ビジネスをバリバリに働きたい、しかし、どんな会社があるのかわからないという人は結構います。
(これは、学生さんだけでなく、転職を希望される方も同じです。)
そういう場合には、自分が興味・関心があることはなんだろうか?と考え、それに関連した専門商社を探してみるのも一手ではないかと思います。(I)