昨年8月に「国土交通省が平成29年度税制改正要望で、空港の入国エリアに免税店の設置を認める制度の創設を求める方針を固めた」ことについての記事を書きました。
日本でも空港入国エリアに免税店ができる?」(2016年8月30日

これまでは空港・海港の出国エリアにしかなかった免税店が、空港の入国エリアにもできるようにする方針という話です。
この話について、正式に実施されることが、今月10日に公表された「関税法基本通達の一部改正」という形で明らかになりました。
実施日は平成29年4月1日からとなっていますから、今後、免税エリアを整備する空港が出てくることでしょう。
これまで「海外で買えば免税だから」と、日本でも買えるものを外国の空港免税店で買い込んだ旅行客の大荷物が、飛行機客室の荷物入れを満杯にすることが減るかもしれませんね。

関税法の観点で見ると、この入国エリアの免税店は、出国エリアのものと同じく、「保税蔵置場」の扱いになりますが、特徴的な点は下の3つです。。

  • 保税販売の対象者は、入国者とする。
  • 保税販売及び物品の引渡しは、入国動線の販売用施設において入国者に直接手渡す方法とする。
  • 外国貨物の保税販売に係る免税の範囲は、保税販売される物品と入国者が外国から持ち込んだ物品とを合算した数量又は価格によって決定される。
  • 外国貨物を販売したときは、販売年月日、品名、数量、入国者の氏名及び国籍を記載した販売伝票を作成させ、これに入国者の署名をさせる。

1つ目、2つ目は「利用できるのは入国者のみ」という簡単な話ですし、4つ目は税逃れを防ぐための管理目的の規定です。

利用者として一番気を付けなければいけないのは3つ目で、入国エリアの免税店ができたとしても、無制限に免税扱いで買物ができるというわけではないという点です。
海外で購入してきたお土産物の価格と、入国エリア免税店で購入した物品の価格の「合計額」または「合計数量」が免税範囲以下である場合のみ、免税扱いになります。
(別送品がある場合は、それも合算する必要があります。)
ちなみに、海外で外貨で買った物品の価格は、税関公示レートで円貨に換算します。
※詳細な制度については、税関ホームページにあります。

この免税範囲は「海外で購入した分と、入国エリア免税店で購入した分の合算」という点、本制度実施後しばらくは、あまり理解していない入国者で現場では混乱があるだろうなと想像できます。
近いうちに、税関公示レートを自動取得し、海外購入分を円換算した上で、入国エリア免税店で「あと、どれだけ購入しても免税となるのか」を計してくれるスマホアプリが登場すると思います。

この入国エリア免税店の制度、関税(と消費税)を「払わなくてもいい」とするもの、つまり、「日本の税収が減る制度」ですから、ちょっと考えたら「なんで財務省はこんな制度を?」と思うかもしれません。
しかし、海外で免税範囲一杯まで購入されても、日本に税金が落ちないことには変わりありません。
ならば、日本で買えるものならば「日本にある店舗」で購入してもらえれば、日本の会社にお金が落ちることになりますし、免税店での雇用も期待もできます。
つまり、ささやかではあるかもしれませんが、景気対策の一環でもあるわけですね。

さて、空港を利用される方々がどの程度この制度を利用するようになるのか、今後がちょっと楽しみです。(I)