税関が発表する時事トピックが面白い!

貿易業務に携わる人にとって、税関ホームページは実用情報の宝なのはいうまでもありません。
関連法令やその改正情報、実行関税率表、輸出入手続のQ&Aは、間違いのない通関手続きをするために重要です。
マーケティング調査のために、貿易統計のコーナーを活用される方もいるでしょう。
また、海外旅行される人のために、出国や入国時に税関手続きの情報もあります。
これらは全国向けの情報ですが、税関ホームページには各税関のページもあります。
各税関のページに掲載されているのは当該地域向けの情報で、税関長からの公告や地域統計、税関が実施するイベント情報が主なものになります。全国向け、地域向けいずれも、お役所らしく基本的には「お堅いウェブサイト」といえるでしょう。
税関イメージキャラクター(ゆるキャラ)である「カスタム君」のコーナーですら、他のゆるキャラのものと比べたらお堅い感じです。

しかし、各税関が独自に情報を発信しているページには、面白い「読み物」もあります。
それは「特集」というコーナーで、当該地域の貿易統計を元に編集されたものです。
その地域で貿易される商品の特性がよくわかる内容であったり、時事的な内容であったりするのが特徴です。
例を挙げると、このようなものです。

  •  特集「野菜高騰!キャベツ・はくさい・レタス 輸入急増!」(東京税関 2018年2月27日)
    時事的な内容です。
    昨秋から今年にかけて天候不順のために野菜、特に葉物野菜の価格が高騰しています。
    それに伴い、前年度比の輸入数量について、キャベツが6倍、はくさいが8倍、レタスが2倍に増加したことが取り上げられています。
  • 特集「魔法瓶の輸出」(大阪税関 2017年5月22日付)
    大阪税関が管轄する関西圏の特徴的な輸出品目についての内容です。
    日本の魔法瓶メーカーとしては、象印マホービン、タイガー魔法瓶、ピーコック魔法瓶工業が御三家ともいえる存在ですが、いずれも大阪府に本拠地があります。
    また、業界団体である全国魔法瓶工業組合も大阪市内に事務所があるほど、魔法瓶工業は大阪を代表する産業の1つです。
    近畿圏からの輸出は、数量・金額ともに経済圏別シェア1位であり、地域の独自性を示した記事と言えるでしょう。
  • 特集「「インスタントラーメン」の輸出について」(神戸税関 2013年6月19日付)
    神戸港の輸出シェアが数量、金額ともに3割を超え、全国第1位であることを示す内容です。
    インスタントラーメンと言えば、カップヌードルを製造する日清食品がすぐに思いつきます。
    日清食品グループの本店・本社は大阪市にあり、「カップヌードルミュージアム(安藤百福発明記念館)」も大阪・池田市にあります。
    大阪港ではなく神戸港からの輸出が多いのは、生産工場の立地と物流の関係によるものですが、インスタントラーメンの輸出が多いことは、神戸港の近隣産業の大きな特徴です。

  • 特集「人工衛星等の輸入」(長崎税関 2014年2月20日付)
    長崎税関の管轄エリアには鹿児島県が含まれますが、同県には種子島宇宙センターと内之浦宇宙空間観測所と、ロケット発射場が2つあります。
    日本から打ち上げられるロケットに搭載される人工衛星の輸入は、成田空港(東京税関管轄)が1位ですが、これは大学や企業などで調整されるためでしょう。
    2位が鹿児島港・鹿児島空港というのは、ロケット発射地がある長崎税関を特徴づけるものです。

掲載頻度は税関によって違いますが、各税関が地域の独自色を出すべく頑張っておられます。
学生、生徒さんにとっては自由研究にも使えそうですね。
ちょっと見つけにくいところにあるのですが、各税関ページの「貿易統計」コーナー内にあることが多いので、探してみて下さい。(I)