G20大阪で見えた面白い航空機の航跡

以前、航空機や船舶の位置がわかるウェブサイトとして、下のトラッキング・サイトをご紹介いたしました。
・船舶の位置情報 :marinetraffic.com
・航空機の位置情報:Flightrader24.com
(2016年2月1日付「貨物、いまどこにあるんだろう?」)

また、類似のサイトやアプリ版もありますが、貿易に関係している人、していない人関わらず沢山の方から「面白い!」というご意見を頂いています。
かなり詳細な情報が出るので、航空機や船舶が好きな人は、見ているだけでも面白いものです。

ところで先頃、大阪でG20会合が開催されましたが、各国首脳が乗る政府専用機が飛来するので飛行機好きの人は前々から待ち構えていたようです。
中でも米国大統領専用機であるエアフォース・ワンを見た!とネットでは写真がたくさんアップされていました。
しかしこの時、Flight Rader 24にエアフォース・ワンは表示されていませんでしたが、これは、エアフォース・ワンに限らず各国首脳の専用機は表示されない仕様になっているからだそうです。
しかし、エアフォース・ワンとなるのは「大統領が乗機しているときのみ」ですので、乗機していないときは”VC-25”として表示されるというのが面白いところです。

また、G20の期間中、大阪近辺では「真夜中まで飛行機のジェット音が鳴り響いてウルサイ!」という人も大勢いました。
これをFlight Rader24で調べると、自衛隊機(おそらく石川県の小松基地からのもの)が大阪近辺の上空をグルグルと旋回して警備していたためのようです。
その際の航跡も見ることができました。
(航跡はこの記事の最後にまとめて載せておきます)

とくに面白かったのがG20が終了した29日夕方の大阪市上空です。
普段であれば、夕方は大阪国際空港(伊丹空港)、関西国際空港(関空)のいずれもラッシュアワーで、Flight Rader24では航空機、とくに着陸しようとする機体が数珠つなぎ状態なのが見て取れます。
しかし、この時、大阪市上空にいる航空機はなく、それどころか近辺でゴーアラウンド(着陸できずに上空を旋回すること)を繰り返す機体がたくさんある状況でした。
関空に着陸しようとしていたPeach機に至っては、着陸ができるようになるまでの時間稼ぎが必要だったのか、淡路島西方で何度もグルグルと回って、航跡がバネみたいになっていました。

調べたところ、この時、エアフォース・ワンが伊丹空港から離陸しようとしていたところだったようです。
普段、伊丹空港での離発着は着陸は大阪市がある南東方面から、離陸は北摂山系がある北西方面に行われます。
(風向きなどの都合で逆になることはありますが、稀です。)
しかし、今回、エアフォース・ワンは南東方面に出たかったらしく、大阪市上空をクリアにしておく必要があったのでしょう。
推測ですが、普段通りに北西方向に出ると山が近いので上昇角度がいささか急なこと、また、上昇中に左方向に大きく捻り旋回をしなければならないことから、乗っている人が不快になるかもしれないという判断だったのかもしれません。
上述の通り、エアフォース・ワン自体はFlight Rader24には表示されませんが、こういうところから状況が見えたりはします。

なお、30日にはエジプト(G20の参加国はありませんが、招待国でした)の政府専用機が関空から離陸しようとしているところ、ロシアの政府専用機(ロシア空軍機)が関空に着陸しようとしている様子も見て取れました。
ロシアの政府専用機はプーチン大統領本人を乗せる機体ではなく、大統領専用リムジンを運ぶ機体だったようです。

ちなみに船舶の方ですが、さすがに船で来る首脳はいませんので、とくに変わったものはないかと思っていましたが、そうでもありませんでした。
警備のためでしょうが、自衛隊の護衛艦すずつき(佐世保所属)が淡路島西方にずっといたり、管轄地域の違う海上保安庁の巡視船がたくさん大阪湾にいました。

こういう特別なイベント時には、航空機や船舶のトラッキング情報はいくら見ても飽きませんね。(I)

6月28日の夜のCNV531の航跡(青い線)
6月29日昼頃、ID(詳細不明)の航跡。
2機編隊で飛んでいるのがわかる。
伊丹空港の入れず、奈良県東部でコーアラウンドする機体。
関空の入れず、淡路島西方でグルグルと回って時間稼ぎをする機体。