タイの反政府集団によるバンコク空港占拠が長引いている。
「反政府」といっても、デモ隊が着ている黄色のシャツは国王への敬愛を示しているものなので、この場合は「反首相(と政権)」というのが正しいのかもしれない。
タイは言うまでもなく日本企業にとって重要な製造拠点国で、ここから航空輸出をしている企業はひじょうに困っている、もっと言えば大混乱状態だという。
(そもそも航空輸送で運ぶぐらいなのだから急ぎの荷物である。)
バンコクのこの空港(スワンナプーム国際空港)は、増加していく国際航空貨物運送のハブ拠点となるに十分な機能を持つことのできる空港として開かれた新しい巨大空港だ。
そのため、今回の大混乱に対して代替機能を果たすことのできる空港が他にないというのが実情だ。
(旧空港(ドンムアン空港)も同様に占拠され、また、ジェトロの報告によると、プーケットは満杯、チェンマイも貨物を載せるスペースが足りない状況にあるそうだ。)
海軍の空港が提供されるとのことだが、物流施設があるわけでもなし、焼け石に水だろう。
せっかく近年のアジアの激しいハブ空港合戦の中で成功を収めようとしていた、タイ・バンコクの地位も危うくなるかもしれない。
当然、政治的安定と物流面でのメリットで拠点を構えていた企業の撤退・縮小による経済的影響も考えられる。
タイ政府は11月4日時点ではこの世界経済の混乱に対しても経済対策の実施で2009年度にはGDPの4%引き上げを達成できると発表していたが、これも難しいのではないだろうか。
今回の混乱に対して、貨物をトラックでマレーシアまで陸送しマレーシアから空輸したり、船舶でシンガポールまで海上輸送しシンガポールから空輸するというルートを検討している企業もあるようだ。
当然、迂回輸送分が増加費用となる。
貿易保険において、非常危険(戦争・革命・内乱、輸入制限、為替取引制限、天災地変)による増加費用は付保対象となっている。
(今回の件が対象になるかどうか、NEXIからの発表はまだないが。)
これまでタイは「まあ、あの国は国王の鶴の一声でなんとかなるから。」という意識がかなり支配的だった。
カントリーリスクを低めに見積もり、そもそも非常危険なんか付保してないという企業がほとんどではないだろうか。
しかし、よく考えれば、タイの政治的混乱は、なんだかんだとけっこう続いている。
今回のような状況を見ると、それが甘かったかもしれないと認識を改める必要があるかもしれない。

