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「簿記」と「貿易」

タイトルが前回と逆なのがポイント。

前回、貿易業務を行なう人も簿記の知識があったほうがいいという話を書いた。
その一方で、経理担当者から貿易実務に関係する相談(コンサルというほどもない世間話だが)を受けることが増えてきた。

例えば、輸入企業の経理の方が、ある輸入のための支払いを行なおうとしたところ、支払を指示された契約金額に比べて、その証憑として提出されたインボイス(送り状)の金額(インボイス価格)が少ない。
なぜ?どういうこと?という話。
これは、ある程度貿易に携わった方はピンとくるだろうし、また、経験したことがあるという人もいるだろう、「アンダーバリュー」というやつだ。

多くの物品において、関税というのは価格ベースで課される(従価税という)。
輸入申告価格がこの課税価格となり、原則としてインボイス価格がそうだとみなされる。
(あくまでも原則なので、色々と加減算する場合もある。)
よって、インボイス価格が実際の取引価格よりも低いと、本来支払うべき関税額よりも少なくなってしまうわけだ。
この逆に自社が輸出者であるときに、アンダーバリューのインボイスを送ってくるように輸入者から依頼を受けることもある。

お話の事例だと、先方(輸出者)が、当方(輸入者)が支払うべき税額を減らしてあげようと「良かれと思って」(余計なお世話だが)という可能性がある。
また、先方がアンダーバリューにすることで何らかの恩恵がある場合もある。

理由は様々だが、いずれにせよアンフェアなことである。
輸入品には消費税もかかる(輸入消費税)ので、関税だけでなく、消費税も過少に申告・納税しているということになるので、大変な問題。
しかも、税関は最近は事後調査に力を入れているので、各書類の金額に整合性がとれないと、こんなものはすぐに見つかってしまう。
当然、見つかれば怒られてしまう(だけでは済まないが)。
なので、このお話をしてきた経理担当の方には、こういう理由と仕組みなのだと教えて、できる限り修正申告をして、先方にはそういうことをしないように注意するよう貿易担当に指示したほうがいいですよ、とアドバイスをしておいた。
(ただ、取引関係の維持のためとか、力関係でなかなか止められないという話もあるから、この問題は実にやっかいだが・・・)

このように、企業が国際化していく中で、経理担当もおもわぬところで、貿易に関係した問題にぶつかることがでてきているようだ。
私の貿易実務講座の受講生の方にも、経理部門の方、中には税理士の方もおられる。
モノとカネとカミが動くのが貿易実務なのだから、無視できない状況になっているのだろう。

海外移転価格とそれに関する税制の問題もあるし、今、導入がすすめられている「国際会計基準(IFRS)」でも、インコタームズで定義されている「リスク移転の時期」の考え方が1つのポイントになると聞いている。

経理・会計を担当される方も「私は国際系の部署とは関係ない」とは言ってられない、貿易の仕組みを理解しておかないと「いい仕事」ができない時代が来ているのだなぁと感じている。