平成27年度法令改正-関税法施行令等の政令-

通関士試験では、法律よりも政令からの出題のほうが要注意かもしれません。
政令のほうがより具体的な規制内容が示されているためです。なので、法令改正にもよくよく注意が必要です。
ただ、今年4月改正では、政令にあまり大きな改正がなかったので、一安心というところでしょうか。
多少気にかけておいたほうがいいものを、確認しておきましょう。

まず、関税法に関する政令「関税法施行令」についてです。
第62条の3(輸出してはならない貨物に係る申立て手続)、第62条の17(輸入してはならない貨物に係る申立て手続)の2つで改正がありましたが、内容は同じです。
いわゆる知的財産権侵害物品等に係る輸出差止め申立て、輸入差止め申立ての手続きに係る、申立書に記載すべき事項ついての規定です。
申立者が「申立てが効力を有する期間として希望する期間」を記載しなければなりませんが、これまでその期間が「2年以内に限る」とされたものが「4年以内に限る」こととなりました。

次に関税定率法に関する政令「関税定率法施行令」ですが、これは品目分類、第04.02.10号という、かなり細かい部分で少し変わっただけですので、あまり気にしなくてもいいと思います。

関税暫定措置法に関する政令「関税暫定措置法施行令」についてです。
まず、特別緊急関税制度等に係る数量カウントの方法についてで、これは、法律でも改正があったことを述べましたが、その細かい内容が示されています。
また、関税暫定措置法第9条の軽減税率の対象となる物品についてです。
この規定は、特定の物品が特定用途に供される場合に減税措置が適用されるものですが、「学校等給食用の脱脂粉乳」に対する関税の減税措置の対象に「児童福祉法に基づく小規模保育事業等」が加わりました。
施行令第25条関係の「特恵関税制度について、特恵関税の便益を与えない物品として中国を原産地とする特定の物品」の指定です。
これまで対象となっていた物品にさらに追加になったものがあります。
ただ、この3つはちょっと細かすぎるかな、という気はします。

また、関税三法に関する直下の政令ではなく、周辺政令にも改正があります。
こちらについては、よっぽど重要なものだけでいいと思いますが、一応、気にしておいたほうがいいものを見てみましょう。

まずは、「関税定率法第五条の規定による便益関税の適用に関する政令」です。
この政令では、便益関税の対象とる国が「別表」で示されています。
便益関税は、WTO(世界貿易機関)への非加盟国に(原則的には)協定税率を適用させるものです。
なので、その趣旨から言えば、別表記載の国がWTOに加盟すれば、適用対象から外れることになります。
今回、中東・アラビア半島南端の国「イエメン」がWTOに加盟したことで、便益関税の対象国から外れました。
(ただ、イエメンは内戦中なので日本との貿易はわずかですが・・・)
ただ、これを出題するとなると、どういう問題を作れるか、とくに出題数が限定されている通関士試験で、わざわざ出すのかといったら可能性は低いと思います。