許可、承認、届出・・・ 2

前回にひきつづき、許可、承認、認定、確認といったものの区別です。
通関に関係するプレイヤーについて、下のとおり許可、承認、認定といった様々なステータスが与えられます。

  • 許可
    保税蔵置場などの保税地域、通関業者
  • 承認
    特定輸出者、特例輸入者、特定保税運送者、特定保税承認者
  • 認定
    認定通関業者、認定製造者
  • 確認
    通関士

これらが、なぜこういった区分になっているのかは、許可、承認、認定などの意味から考えればわかります。

まずは許可からです。
保税地域の許可ですが、そもそも外国貨物を許可なく日本に持ち込んではいけません。
しかし、通関手続きなどのために日本の国土上に外国貨物を置く場所は必要ですので、場所を指定して禁止を解除することになりますが、それが保税蔵置場や保税工場などなわけです。
また、通関業の許可ですが、これも取り締まりの都合上、輸出入通関は本人が行う必要があり、他人が勝手にやってはいけません。
しかし、煩雑な手続きを輸出入者が行うことは効率的じゃないので、禁止を解除して代理行為をできるようにするのが通関業者なわけです。
いずれも、原則的に禁止されていることを解除するので、そのステータスを得るには「許可」を要するわけです。

次に承認です。
上に挙げたいずれについても、原則的な手続きの流れ対して、特例的に簡素化を認めるものです。
簡素化された流れは税関(財務省)が決めたルールに従うものですが、簡素化することは禁止されているわけではありませんから、禁止解除を要するものではありません。
しかし、簡素化することで、税関が目的とする取締りや税収の確保ができなくなるのは困ります。
そのため、コンプライアンスに優れているか、能力は十分かなどを税関が審査して適性性を審査することとし、「承認」するわけです。
ただ、本質的な意味で考えると「○○者」という立場を与えるというよりも、「特例制度を利用すること自体の承認」を与えるもので、その結果「○○者」と呼ばれるようになるというべきでしょう。

3つ目は認定です。
いずれも上記の「承認」に係る輸出入通関の特例制度に係るもので、いずれもコンプライアンスに優れた者が受けることができるものなので、承認となにが違うのか不思議に思うところです。
承認との意味の違いは大きく言えば2つあります。
1つは、「承認」は「特例制度を利用する」状況を認めるものですが、「認定」は該当者に「認定○○者」というステータスそのものを与えるものです。
なぜこういう形になるのかが、承認との違いの2つ目で、「承認」を受けた者は、簡素化された手続きを行う主体者ですが、「認定」を受けたその者は手続きを行う主体者ではないからと考えるとわかりやすいと思います。
例えば、認定製造者だと、簡素化された手続きを実際に行うのは特定製造貨物輸出者です。
認定通関業者だと、簡素化された手続きを実際に行うのは通関業者(立場が二重になっている)だというわけです。
禁止解除でもなければ、行為の主体者でないが、特例制度を利用するための補助的な立場としてコンプライアンスに優れていることが必要な者のステータスが「認定」と言えます。

最後に確認です。
確認は、行政機関が存否や真否をチェックするだけで判断はしないものと説明しました。
通関手続きのプレイヤーとしては「通関士」が確認を要するものですが、これは税関が本人の存在、および、ほんとうに通関士試験合格者であるか、確認拒否事由に該当しない旨の「宣誓」があるかを税関が見るだけです。
他人の代理として通関手続きを行うことの許可は、通関業者が受けていますので、通関業者に属する通関士がさらに許可を得る必要はありません。
書式が整っていれば確認を受けることができるわけです。

こうやって整理していけば、それぞれの立場がなにを許されているのか、わかりやすくなるのではないでしょうか?