原則、例外、特例 1

通関士試験が難しいといわれる理由の1つが、法令中にタイトルにある「原則」「例外」「特例」の3種が入り混じっているためであるのは間違いないことでしょう。

この3つは下のような感じで分類されます。

  • 原則
    その規定において「基本的にはそうなっている」というもの。
  • 例外
    ある条件を満たした場合(シチュエーション)において、原則の規定から外れる扱いをするもの。
    ほとんどの場合、原則を示した条文の後に、「ただし~」(但書)、「以下の場合には前項の規定は適用しない」といった表現がされ、1つの原則に対して例外となるのはその原則に対するものだけ。
    「そのときだけ」「1回だけ」認められるものなので、前回と同じ原則規定から外れた扱いの適用を受けようとする場合であっても、その都度、申請などして認めてもらわなければならない。
  • 特例
    特定の要件を満たしていると認められた者(ステータス)に対して、原則規定から外れる扱いをするもの。
    複数の原則規定から外れる大きな変更扱いをするものが多く、条文も別条で設けられる。
    そのステータスを維持している間は、原則規定から外れた扱いの適用を受ける旨の申請などその都度行う必要はない。

例としては輸入申告の手続きのうち、輸入申告の時期(関税法67条の2第2項)を例に考えればわかりやすいでしょう。

「原則」では輸入申告の時期は、「その申告に係る貨物を保税地域等に入れた後」となっています。

しかし、同項内では、「ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。」とつづいており、1号、2号が掲げています。
これが、例外、または、特例ということになります。
まず1号ですが、「当該貨物を保税地域等に入れないで申告をすることにつき、政令で定めるところにより、税関長の承認を受けた場合」となっています。
これは、本船扱いやふ中扱いといった「例外」規定にあたり、ここで参照を指示されている政令では、税関長に承認される条件、いうなれば発動条件が「シチュエーション」として示されているわけです。
さらに、この「規定を使おうとする都度」、承認申請を行うことを求めています。
また、例外適用を受けることができるのは、この輸入申告の時期に関する規定1つだけです。

一方、2号では「当該貨物につき、特例輸入者又は特例委託輸入者が政令で定めるところにより輸入申告を行う場合」となっています。
これは、電子情報処理組織(NACCS)を使っての輸入申告をする場合という「特例」規定にあたります。
ただ、2号を使える条件として「特例輸入者」、「特例委託輸入者」であることが条件になっていますから、発動条件は「特定の者」という「ステータス」だということがわかります。
特例申告については、別条(関税法第7条の2)が設けられているのはご存知のとおりです。
特例申告では上記2号の原則外しだけでなく、関税法第7条の2で納税申告の時期や、納税の時期など原則から外れた規定も使えるようになっています。
つまり、特例で認められる原則外しは1つの規定だけではないということがおわかりいただけると思います。

最近の通関士試験では、特定の状況を挙げて考えさせるタイプの問題が多くなってきています。
その状況は「原則」「例外」「特例」のいずれにあたるのかを的確に判断することができればそれほど難しいことではありませんが、できなければ迷いが生まれることになります。
というか、状況から解かせる問題はそれを判断させる問題が主になります。

みなさんが問題演習をするときには、「これは原則」「これは例外」「これは特例(これは条項が分かれていますのですぐわかりますが)」と意識しながら、慣れるように心がけてみて下さい。

通関士

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