電卓の活用 2

前回紹介した電卓のMキーの、申告書作成問題での活用例を紹介しましょう。
下の輸入申告の例で考えてみます。

<例>
FOB価格
物品1 : US$2,500
物品2: US$2,240
物品3: US$3,150
(合計): US$7,890
運賃・保険料はUS$150で、価格按分することとする。

<解答手順1>
運賃・保険料は価格按分なので、各物品の課税価格は下の通りとなります。
US$150 × (各物品の価格 ÷ US$7,890)  + 各物品の価格

前半が運賃・保険料を按分した額になるわけですね。

簡単な因数分解ですが、整理するとこうなります。
US$150 × (各物品の価格 ÷ US$7,890)  + 各物品の価格
=各物品の価格×US$150 ÷ US$7,890+各物品の価格
=各物品の価格×(US$150÷US$7,890+1)

つまり、各物品の課税価格は、FOB価格に”US$150÷US$7,890+1″を掛ければいいことになります。
ところが、この部分を計算すると、1.019011・・・と小数点以下がずらずらと出てきてしまいます。

<Mキーを使わない場合>
1.019011・・・ と小数点がずらずらと出ますが、適当なところで桁区切りをしてメモしておいて、各物品の課税価格を算出、それに為替レートを掛けるという手順はあまりおすすめできません。
それは、1円単位で誤差が出る可能性があるためです。
そのため、各物品の課税価格算出の際には、”US$150÷US$7,890+1″ 部分を算出しなおさなければなりません。
物品1で(US$150÷US$7,890+1)×2500
物品2で(US$150÷US$7,890+1)×2240
物品3で(US$150÷US$7,890+1)×3150
と前半については、毎回同じ打鍵をしなければなりません。

<Mキーを使う場合>
US$150÷US$7,890+1 と打ち、M+キー を打つと、計算結果が小数点以下までメモリーされます。
この準備をした上で、各物品のFOB価格にメモリーした数字を掛ければいいわけです。
例えば、物品1については、 2500×(RMキー)= と打つと課税価格が算出されます。
引き続き物品2を算出するのは、メモリーした結果をクリアしてはいけませんからC/CLキーを押します。
そして、2240×(RMキー)=とすれば、今度は物品2の課税価格です。
さらに、C/CLキーを押して、3150×(RMキー)=とすれば、物品3の課税価格ですね。

輸入申告書では最終的には円貨にしなければなりません。
上記の算出額はまだUS$建ですから、=キーを押す前に×レート をすれば、円貨額が出てきます。

もっといえば、レートも物品によって変わることはないのですから、加算要素や控除要素が上記のように1しかないのであれば、”(US$150÷US$7,890+1)×レート” でメモリーさせてもいいぐらいです。

Mキーを使わない場合には、”US$150÷US$7,890+1″ 部分で打鍵ミスがないか、計算するたびに気をつけなければいけません。
しかし、Mキーを使うならば、メモリーさせる1度だけ気をつければいいことになります。
計算ミスも減りますし、時間も節約できると、ひじょうにメリットの大きいMキーは、複雑な条件になればなるほど効果を発揮します。
すぐには使いこなせないかもしれませんが、練習してみて下さい。

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