インコタームズについての理解は、貿易に関係する方全てに必要であることは言うまでもありません。
もちろん貿易実務検定、通関士のいずれにおいても、これがわかっていなければ合格はおぼつきません。
しかし、インコタームズ2010で11種類もある各条件を覚えるのに苦労されている方も多いようです。

苦労されている方に多いのが、FOBやCIFといった三文字から覚えようとすることです。
各条件の3文字は元の英語からできた略語ですから、「フルネーム(フルスペル)から覚えた方が意味がわかって覚えやすい」というのはよく言われることです。
確かにそのとおりなのですが、問題はそのフルネームが意味しているところがわからなければ、三文字から内容までがつながらないということです。
今回はその理解に役立つように解読していくこととしましょう。

まず知っておくべきことは、このフルネームは、『輸出者』の『費用負担の範囲』を示している、ということです。
なので、「輸出者が」とか「輸出者は」と主語を加えて覚えていけばいいのです。
また、前回の話で述べた「Freeは義務/責任がないという意味」を含めて考えればわかりやすくなります。
具体例を見て行きましょう。

  • EXW(Ex Works)
    Exは出口(Exit)、Worksは工場や作業所を意味しますから、「工場の出口にある荷捌場」ということになります。
    よって、「輸出者は、荷捌場までが費用負担の範囲」ということになります。
  • FOB(Free on Board)
    フルネームの意味としては「本船の甲板上で義務が無くなる」ということです。
    ですから、「輸出者は、本船の甲板上で義務がなくなるまでが費用負担の範囲」ということになります。
  • FCA(Free Carrier)
    Carrierは国際運送の運送人という意味です。
    これは、「輸出者は、輸出国で国際運送の運送人に引渡すまでが費用負担の範囲」ということになります。
  • CIF(Cost, Insurance and Freight)
    Costは「輸出国で掛かる諸費用」と理解して下さい。
    Freightは、以前の話で述べたとおり「運賃=国際運賃」を意味します。
    組み合わせると「輸出者は、輸出国で掛かる諸費用、貨物保険料、国際運賃を支払うまでが費用負担の範囲」という意味になりますね。
  • CPT(Carriage Paid to)
    Carriageは、以前の話で述べたとおり「輸送費=国際輸送費」を意味しますが、Paid toですから「~に支払った」ということですね。
    つまり、「輸出者は、国際輸送費を支払うまでが費用負担の範囲」ということです。
  • DAP(Delivered at Place)
    Deliveredは配送済み、Placeは(輸入地の)指定仕向地という意味です。
    ですので「輸出者は、輸入地の指定仕向地で配送済みとなるまでが費用負担の範囲」ということになります。

ここで挙げなかった残りの条件も、このように解釈していけば「輸出者の費用負担の範囲」は理解できるでしょう。
そして、それ以降が「輸入者の費用負担の範囲」となるだけのことです。

一方、危険負担の範囲ですが、これは費用負担の範囲がわかれば覚えるのも容易です。
E、F、D類型は費用負担の範囲と同じです。C類型のみが費用負担と危険負担の範囲が一致しないわけですが、C類型はF類型から、輸出者の費用負担の範囲「のみ」が延長された、単なる派生形です。
CFRとCIFはFOBの派生形、CPTとCIPはFCAの派生形ですから、危険負担の範囲はそれぞれFOB、FCAと同じ、つまり、FOBとFCAの費用負担の範囲と同じということになります。

どうでしょう?それほど難しくないと思ってもらえましたでしょうか?
こういう解釈で今一度覚えなおしてみて下さい。