HDSに係る費用は加算要素か?

とくに中国・アジア航路のコンテナ船での輸送において、ホット・デリバリー・サービス(HDS)というサービスがあります。
これは、簡単に言えば、コンテナ貨物を同じ船で運ぶ他の荷物よりも早く引取ることができるようにするサービスです。
その方法はある意味単純で、コンテナ船ではコンテナが重ねて積まれているわけですが、その最上面や最初に荷降ししやすい場所にあえて積むことによって実現しています。
HDSチャージという手数料を支払うことによって、このサービスを受けることができます。

問題は、このHDSチャージは課税価格に算入すべき「輸入港到着までの運賃」に該当するのかどうかということです。

結論からいうと、これは「含まない」と教示されています。
これはHDSの仕組みによります。

HDSを利用する場合、輸出港では、該当するコンテナを一般のものよりも持込締切時間を遅く設定する以外に、とりたてて特別な作業が発生せず、費用も生じません。
一方、輸入港においては、HDS対象のコンテナーは、一般の貨物と分けて特別な搬入手続(個別搬入手続)を行います。
例えば、一般コンテナーについては、午後に一括搬入手続を行なうのに対して、HDS対象コンテナーは午前中に2回、個別搬入手続を行うという流れです。
よって、HDSチャージはこの「特別な搬入手続を行なうという付加価値に対するもの」に値すると考えられたわけです。

課税価格に算入すべき「輸入港到着までの運賃」というのは、まさに「本船が港に到着するまで」が対象です。
よって、荷降しに係る費用は含まないことになっています(もちろん、その仕分けができる範囲においてです。)
HDSチャージは、荷降しに係る付加価値であり、輸出港での船積みや運賃に係る付加価値ではないということで、「含まない」という結論になったわけです。

運送においては、単なる運賃だけでなく、様々なチャージ(手数料やサーチャージなど)が課されることが往々にあります。
そのため、通関士試験においても、そういったチャージ類が加算要素になるのか、ならないのかを問う出題がけっこうあります。
どれは輸出港での作業に係るもか、運送そのものに吹かされているものか、輸入港到着後のものなのか、見極めることが大事です。
関税定率法基本通達には、いくつかチャージの扱いが出ていますので、目を通してみて下さい。