SDR17かSDR19か

IATA Diploma試験では、従価料金(Valuation Charge)を算出させる問題が出題されます。
この算出で必要になるのが、「1kgあたりの運送責任限度額(Carrier’s Liability per kg)」です。
IATAでは、これをSDR17またはSDR19としています。
SDRとは「IMFの特別引出権」のことで、現実の貨幣・紙幣はありませんが、各国の通貨との交換レートが立っています。

なぜSDR17と19の2つがあるかというと、運送責任限度額を定めている国際航空運送に関する条約に関係します。
条約は、ワルソー条約 → 改正ワルソー条約 → (モントリオール第4議定書) → モントリオール条約 と変遷しています。
このうち、SDR19と定めているのはモントリオール条約で、その前のモントリオール第4議定書ではSDR17となっていました。
どちらが適用されるかは、条約の批准状況によって違い、モントリオール条約批准国間の運送ではSDR19、それ以外の区間ではSDR17となります。
※日本はモントリオール条約批准国です。

モントリオール条約は随分前に発効していますが、これまでDiploma試験では、以前のSDR17が使われていました。
しかし、今回試験で配布されたテキストおよびOAG&TACTの edition 2.0 で初めてSDR19の記載が登場し、SDR17、SDR19 両方で各通貨の相当額が掲載されるようになりました。
「じゃあ、どっちを使うの?」ということですが、上記のように設問でモントリオール条約批准国間での運送であればSDR19、そうでなければSDR17ということになります。

ただ、次回3月試験では、SDR17での記載しかない以前のテキストおよびOAG&TACTの  edition1.9 で勉強されている方もいますので、SDR19となる状況をそのまま出題することはできません。
「1kgあたりの運送責任限度額はSDR17」と明記する、1.9の方には試験会場で2.0を当日配布する、などの措置が必要になります。
1.8→1.9に変わったときには、1.8で学習された方には、試験会場でOAG&TACTの1.9が配布されたという実績もあります。
しかしながら、1.9にはSDR19の意味が記載されていませんので、OAG&TACTを配られても対応しようがないのも事実です。
結局のところ、現状ではどうなるのか不明です。
もう少しすれば、試験実施団体である航空貨物運送協会(JAFA)より、edition変更による試験対応の情報が出てくる可能性もあります。
受験される方は、こまめにチェックしておいて下さい。