通関士試験では、郵便物の通関手続きについても出題されることはご存知のとおりです。
法令上は関税法第76条の「郵便物の輸出入の簡易手続」と呼ばれる規定です。
といっても郵便物全てが対象となるわけではなく、原則として、「その価格(輸入されるものについては、課税標準となるべき価格)が20万円を超えるもの、および、関税法第76条第3項の政令で定める場合に係るものを除く。」となっています。
もちろん「信書のみを内容とするもの」は、そもそも除かれますので、これはいわゆる「小包」についてのものであることは言うまでもありません。

なお、前半部分の「20万円を超えるもの」であっても、下のものはこの規定が使えます。
(1)寄贈物品
(2)無償で貸与されることその他の事由により、名宛人において課税価格や品目分類の判断が困難なもの
(3)日米安保条約、日米地位協定に基づく合衆国軍事郵便局を通じて郵送されるもの
ただし、(1)、(2)は輸入するもののみで、(3)は通関士試験ではまず出題されることはないでしょう。

また、後半の「関税法第76条第3項の政令で定める場合」とは、20万円未満であってもこの簡易手続きの対象にならない場合ですが、この政令は関税定率法施行令第66条の3となります。
といっても難しい内容ではなく、「輸出し、又は輸入しようとする者が関税法67条の申告、つまり、一般通関の手続きをすることを選んだ」場合には、一般通関の申告を行えるということを述べているに過ぎません。

これを見ると「20万円を超える」金額が大きなポイントであることがわかります。
では、この「輸出では”価格”」、「輸入では”課税標準となるべき価格”」とはどういう意味でしょうか?
これについては、税関のウェブサイトでは輸出時、輸入時それぞれで下のとおりとなると説明されています。

・輸出の場合
輸出しようとする郵便物そのものの価格

・輸入の場合
輸入しようとする郵便物そのものの価格+郵便料金+保険料の合計額
(郵便でも保険をかけることはできます。)

これは、輸出申告価格、輸入申告価格の基本に立ち返って考えるとわかるでしょう。
郵便では「郵便代(切手代)=運賃」であることを考えればわかると思います。
郵便運送では、切手代だけで「輸出者の拠点から、輸入者の拠点まで」という、国際運送を含むDoor to Door運送が行われます。
(実際は輸出者は郵便局に持ち込むことが多いでしょうが。)

輸出申告価格の原則であるFOB価格には国際運賃を含めませんし、輸入申告価格の原則であるCIF価格では国際運賃を含みます。
しかし、郵便料金では国際運賃、輸入国内運賃を区分することはできません。
なので、郵便通関では輸出時には郵便代を含めない貨物本体の価格のみとし、輸入時には郵便代を含めた価格とするわけです。

郵便通関での”価格”の意味を問うものが出題される可能性はあまり高くありませんが、申告価格の意味を今一度考えるために気にするのもいいと思います。