平成29年度当初の法改正のうち、一番変更が多いのは「外国為替及び外国貿易法(外為法)」でしょう。
国際的にテロ行為が頻発していることを受けて、安全保障貿易管理に係る規制が厳しくなる方向での改正がほとんどです。
主な改正点、とくに、通関士試験やSTC試験で出題されそうなポイントを紹介します。

  1. 対内直接投資規制の強化
    国の安全を損なうような機微技術を有する日本企業おそれが大きい企業については、外資による対内(対日)直接投資に規制があります。
    審査付事前届出制となっていて、場合によっては、経済産業省が変更や中止を勧告・命令することができます。
    その届出対象としては下のとおりでした。
    (1)機微技術を有する日本企業の株式を、外資が「買収」する場合
    日本企業が上場企業、非上場企業であるに係わらず、事前届出が必要。
    (2)機微技術を有する日本企業の株式を、外資が別の外資に「移転」する場合
    日本企業が上場企業の場合には、事前届出が必要。(2)の場合、これまで非上場企業については届出が不要でしたが、「国の安全 を損なうことになる『おそれが大きい』もの」については、事前届出が必要になります。
    また、無届けで対内直接投資等を行った外国投資家等に対して、「国の安全を損なう『おそれがあるもの』」については、株式の売却等を命令できる制度も新たに創設されることになります。
  2. 輸出管理に係る罰則の強化
    これまで、安全保障貿易管理の規制に違反した場合の罰則は、「法人 or  個人に対して」、「最高1,000万円以下 or  取引価格の5倍以内」(金額は内容による)となっていました。
    そのため、違反に対する罰が、資力に乏しく罰金が大きなダメージとなる個人も、資力が大きく罰金が大きなダメージにならない法人も同じで、大企業には相対的に罰が軽くなる傾向がありました。これが、今回の改正では下のとおり、個人と法人のものが分けられ、法人の罰が重くなります。
    個人:3,000万円以下 or  取引価格の5倍以内
    法人:10億円以下 or 取引価格の5倍以内
    (いずれも、金額は内容による)
    なお、法人の方が罰が重いのを「法人重科」と呼びます。
  3. 行政制裁の強化
    これまで、外為法に係る規制違反により輸出禁止を受けた企業があっても、別会社を創設して対外取引を続けるという「制裁逃れ」の方法がありました。
    今般の改正では、それを許さないように「別会社 の担当役員等への就任等を禁止を命令できる制度」が創設されます。また、対北朝鮮向けの輸出入禁止措置のような、「我が国独自の輸出入禁止措置」に違反した場合の行政制裁期間の上限が延ばされました。
    これまでは、「1年以内」でしたが、「3年以内」となります。
    なお、この延長はあくまでも「我が国独自の輸出入禁止措置」に違反した場合のみで、ワシントン条約やバーゼル条約のような国際約束に基づく規制に違反した場合のものは、これまでどおり1年以内です。

主な改正点は上記のとおりです。
ただし、この改正点は現時点(4月11日時点)では、衆議院で受理されているものの、まだ可決はされていません。
とはいえ、閣議決定はされていますし、経済産業省のセミナーでは、改正後を前提に説明会を開催しています。
施行のタイミングが、次回のSTCや通関士試験の試験範囲に入るかどうか微妙ですが、今後の経過はここでご案内いたします。

(追記 4/11)
本改正は、2017年5月17日に国会で可決・成立しました。

(追記 7/11)
改正外為法の施行期日を定める政令等が閣議決定されました。
改正法の施行期日は、平成29年10月1日です。