平成29年法令等の変更 -加算税 その2-

前回に引き続き、加算税に関する法令改正ポイントです。
今回は無申告加算税に関してです。

まずは、そもそも、無申告加算税がどういう場合に課されるか、から整理してみましょう。
(a)期限後特例申告書を提出した場合
(b)納税申告していないことにより税関長から決定を受けた場合
(c)上記(a)(b)の後、修正申告や税関長からの増額更正があった場合。

(a)と(b)はわかっていても、(c)は忘れがちだったりしますね。

無申告加算税の税率には下の3パターンありました。
(いわゆる5%加算分や、金額が小さい場合を除く)

  • 15%となる。
    通常の場合
  • 5%となる。
    ①税関長の調査によって更正があるべきことを予知せずに、期限後特例申告の提出を行った場合
    ②税関長の調査によって更正があるべきことを予知せずに、(c)の修正申告を行った場合
  • 課されない
    無申告だったことに、正当な理由がある場合

これが、法改正によって、下の4つに分かれました。

  • 15%となる
    ①税関長による調査の結果、決定が行われた場合
    ②税関長の調査の結果、期限後特例申告書の提出を行った場合
    ③税関長の調査の結果、(c)の修正申告を行った場合
  • 10%となる
    ①税関長による調査の事前通知後、更正があることを予知せずに期限後特例申告書の提出を行った場合
    ②税関長による調査の事前通知後、更正があることを予知せずに(c)の修正申告を行った場合
  • 5%となる
    ①税関長による調査の事前通知前に、期限後特例申告書の提出を行った場合
    ②税関長による調査の事前通知前に、(c)の修正申告を行った場合
  • 課されない
    ①正当な理由がある場合

つまり、過少申告加算税の場合と同じく、自主的に期限後特例申告書の提出や、(c)の修正申告を行った場合には軽減されるルールがより明確になったといえます。
さらに、それが事後調査の連絡がある前であれば、より軽減するということで、これまでより一層、自主的な申告を促すという姿勢が見えてきます。
よって、出題されるならば、問題文にはシチュエーションが指示されているはずですので、そこを見落としてはいけません。

なお、従前のとおり、10%の①や、5%の①の場合において、期限後特例申告書の提出の意思があったと認められる場合、かつ、期限後特例申告書の提出期限から1月以内である場合には、無申告加算税は課されないというルールはそのまま残されています。

また、納付すべき税額が50万円以上であった場合の5%加算のルールもそのままです。

無申告加算税については、実務科目では出題される可能性はあまり高くないと思います。
出題問題数が限られている中、こちらを出すのであれば、過少申告加算税の方を出すと思われるからです。
しかし、上記のとおり税率のパターンの変更、課されない場合などややこしいルールとなりましたので、午前中の法令の科目で出題される可能性は十分になると思います。

次回は重加算税について説明します。