富士山の絶景を見に愛鷹山へ

東京出張が週末にかかったので、土曜日は富士山の南隣に位置する愛鷹山に登ってきた。
愛鷹山は広義には9つのピークからなる愛鷹山塊を言い、その最高点は、今回の目標である標高1,504mの越前岳。

前泊の御殿場からは8:00発、愛鷹山登山口バス停に8:30着というちょうどいい時間にバスがある。
首都圏はこんなふうに登山のための公共交通機関が便利なのでありがたい。
登山口には30台分の駐車場があるが、私が到着した時点では既にいっぱいで、人気の山だということがわかるが、その一方で、このあたりでは熊の目撃情報があるので、注意が必要な山だったりもする。

スタート地点の標高は約700m。
天気は快晴だが、林の中を歩くので暑くはない。
道は少し荒れ気味だが十分に広く、V字型に抉れている部分があっても巻道ができているので問題なし。
ただ、登り始めの一番しんどい時、山小屋というか避難小屋である愛鷹山荘、そのすぐ上の富士見峠あたりまでは急登が続くのが大変だった。
富士見峠は、越前岳と黒岳の分岐。
黒岳はルートから外れるが、景色がいいポイントがあるので寄るべきかどうか考えたが、初めての山で時間が読めないので今回は諦め、そのまま越前岳へのルートを取った。
富士見峠に出た時点で稜線に出たことになるのだが、そこから先が平坦になるわけではなく、林の中ゆえに富士山もチラッチラッとしか見えない中、最高点に向けてズンズン登って行くことになる。
降りたり登ったりの登り返しがないともいえるが、これといったインターバル地点がないとも言える。

越前岳までで眺望の良いポイントは、山頂付近がギザギザになっている鋸岳を臨む鋸岳展望台と、富士山がことに綺麗に見える富士見台の2つ。
富士見台から見える富士山は、写真家 岡田紅陽が撮った姿が昭和13年発行50銭紙幣(昭和13年発行)のモデルだったほど。
御殿場駅あたりと高度分の目線が上がっているのと、宝永火口が真正面で、登山道まで見えるその近さゆえにて実に綺麗だ。

そこから500mほど歩いて越前岳山頂に到着したのは11:15。
二等三角点に「でん」をついて休憩。
山頂には老若男女問わず多くの人がいて、記念写真を撮ったり、お昼ご飯を食べていたり。
外国の方がいた(朝のバスでも一緒だった)ので話しかけたら、ドイツから富士山の絶景を見に来たのだそうだ。
絶景という観点で言えば、富士山というのは登るよりも見た方が綺麗だしね、と納得。
(そもそも、富士山登山にはまだ山開きしていないし。)
残念ながらここからは木々のせいで富士山はあまり見えないのだが、南には駿河湾と伊豆半島、西には南アルプスの山頂に雪を頂いた山塊(霞んでいたけど)で、こっちはこっちで絶景。
さっきのドイツの人はムービーで180°の流し撮りをしていた。

さて、軽くお昼を食べたところで下山開始。
今度は、真正面に富士山を臨む十里木方向に下山開始。
こちらのルートの方が距離は短いのだが、当然ながらその分傾斜が急。
私は下りが苦手なタイプなので、慎重に時間をかけて降りる。
こちらを登りルートに選んでいたら、急登だし、振り返らないと富士山は見えないし、途中でへこたれてたかもしれないなと(笑)
こちらも抉れた道には巻道があるのだが、むしろ崖方向にいきさえしなければ、好きなところを歩いていいという感じ。
その分、あまりルートが外れないように、かつ、自分に合った歩きやすい道を探さないといけないのだが。
私は下りが苦手なタイプなので、慎重に時間をかけて降りる。
何か所か林が切れて展望がひらける場所(平坦地、馬の背見晴台など)があり、そこからは雄大に富士山が見える。
こんなすごい風景だと(まわりに人がいないこともあって)大声で叫びたくなるのは富士山マジックか?
それも「やっほー!」ではなく、両手を広げて「ふっじさーん!」。

最後の展望台、十里木高原展望台を経て、十里木バス停に到着したのが13:10。
行程7.7km、約4時間半はモデルタイムより早め。
ほどなく帰りのバスが来たのだが、モデルタイムの下山予定時刻頃にも便がある。
やっぱりバス会社はよくわかってるもんだね。

今回、ずっと天気がよく(熊にも出会わず)気持ちの良い登山であった。
この近辺にしか咲いていないというアシタカツツジ(絶滅危惧種Ⅱ類)にもギリギリ間に合ったし。
ちなみに、自衛隊の東富士演習場が近いので、野鳥の声よりも砲声がズドンズドンと聞こえ続けるのもこの山の特徴か(笑)

去年の浜石岳、今年の愛鷹山と、この時期の出張では富士山がよく見える山に登るのが恒例になりつつある気がする。
来年はどこに登ろうかな!

ある意味、真の登山口である山神社鳥居。

鋸岳展望台からの鋸岳の眺望。 たしかにギザギザ。

お札のモデルにもなった富士見台からの富士山。宝永火口がいかに大きいかよくわかる。

越前岳登頂記念に1枚。

越前岳山頂からは富士山はこの程度しか見えないのが残念。

馬の背から見える富士山。 富士見台からとは目線の高さが違う。

アシタカツツジ