東山トレイル(清水寺~銀閣寺)

秋山登山に向けて体力を落とさないように、京都一周トレイルの東山コースへ。
京都一周トレイルとは京都市外周をほぼ一周するハイキングコースだ。
とはいえ全周すると83mほどある(+京北コースが49km)なので、全部を1日で踏破するのは無理。
今回は、東山コースの一部、清水寺裏から粟田口を抜け、大文字山経由で銀閣寺に至る約11km。
 
スタートは9:00に清水寺の裏手になる清閑院山ノ内町バス亭(標高100m)から。
さすが観光都市京都というべきか、トレイルコースの道はしっかりしているし、エスケープルートがたくさんあるが道標も要所要所にあるので道に迷うことはない。
ゆるやかな上り坂を1km弱歩くと清水山山頂(標高242.5m)に到着する。
清水寺の裏手が清水山(音羽山とも呼ぶ)という山だということは知らなかったが、こんなところに三等三角点があるということも知らなかった。
ただ惜しむらくは、樹々に囲まれて眺望はゼロ、裏山にも関わらず清水寺を見ることができなかったことだ。
 
次の目標ポイントは約1.3km先の東山山頂公園(将軍塚)。
自然林の中、稜線歩きというほどではないが、軽いアップダウンのみで軽快に歩いてあっという間に到着。
ここ将軍塚(標高220m)は、京都市街を眺望する場所としてはNo.1の場所と言われる。
この日は晴天だったので、京都駅や京都タワー、位置的には真正面になる四条大通り、ついでに言えば私が教えに行ったりする京都外大の校舎まで望むことができた。
これだけ展望がいいのだから、ここで昼食にしてもいいのだが、いくらなんでも10時だと早すぎるので、先に進む。
 
いくら京都が盆地で、京都一周トレイルがその周りの山を辿るコースだといったところで、全周が山の中を歩くわけでなく、将軍塚から粟田口にいったん下山することになる。
刀剣女子の聖地らしい粟田神社の横を抜け、蹴上インクラインあたりまでは普通の街中を歩くことに。
蹴上インクラインは普通の観光名所なので、浴衣(観光客向けレンタル浴衣)を着てぞぞろ歩きしている若者達には、登山スタイルで歩いている私は少し奇妙に見えたかもしれない。
ましてや小休止中の行動食としてバナナをほおばっている姿は。
 
蹴上を過ぎると、ここからは大文字山に向けて少し本格的な登山(ゆる登山ではあるが)となる。
ここからはいくつかのルートを選ぶことができるが、オススメは日向大神宮を通るコース。
「京の伊勢」と呼ばれるこの神社の創建は顕宗天皇(23代)の時代ということで、西暦でははっきりしないレベルの歴史の長さがあるそうだが、私が参った際には参拝者もほとんどおらず、ひっそりとしていた。
ここの境内にある「天の岩戸」という岩くぐりができる場所なんか面白いのでもっと有名であってもいいと思うのだが。
大文字山というのは、京都市から見れば少し東に奥まったところにあり、また、植林も多いので、このあたりの登山道では景色はほとんど楽しめない。
時折、山科方面の市街地が見えるぐらいか。
しかし、周辺の地名が「鹿ケ谷の陰謀」で有名な鹿ケ谷であったり、また、だからこそ「俊寛僧都忠誠之碑」への脇道があったりするので歴史好きには楽しめるコースだと思う。
 
ゆるゆると歩きながら大文字山山頂(標高465m)に到着したのが12時半頃。
ここにも三等三角点があるので、お約束の「デン」をついて昼食とした。
清水から粟田口までではすれ違う人もあまりいなかったが、大文字山ではけっこう多くの人とすれ違い、また、この山頂でも多くの人が昼食を摂っていた。
ほとんどの人がごく軽装だったので、京都の人にとっては「ほんのそこまで」レベルで歩きに来る山なのかもしれない。
今回のコースではここが最高地点で、大文字山山頂は展望が開けているので京都市街北部が一望できる。
京都御所や下鴨神社、上賀茂神社、学校でいえば京都大学キャンパスも見える。
位置取りが違うので、将軍塚からの景色ともまた違って面白い。
 
大文字山といえば、五山の送り火。
だが、件の「大」の字はこの山頂から点灯しているわけではなく、送り火のための火床は山頂から少し下ったところ(標高350m辺り)にある。
ここはトレイルコースとしてはバリエーションルート(むしろなんでこっちを正規ルートにしないのだろう?)になるのだが、まあやっぱり見ておくのがお約束だろうということで寄ってみる。
ちなみに、送り火当日の8月16日にはこの一帯は通行禁止になる。
市街地から見ると線でつながっているように見える「大」の字だが、ここに来れば「なるほど、点々と並んでいる設けられた火床の列が文字を形作っているのだ」とわかる。
一番上から見ると景色はいいものの急斜面に少し怖いが。
 
ここを一気に下ればそこは今回のゴールである銀閣寺。まあまあ急な下り坂で、大文字山は銀閣寺方面から登るより蹴上方面から登る方が楽だったと感じた。
14:30頃に着いた銀閣寺周辺はやっぱりふつうの観光客でいっぱい。
コロナ禍のために京都の観光地は閑古鳥が鳴いてると言われていたが、今はもうそれほどでもなさそう。
もっとも外国人観光客はほとんどいなかったので、彼らをターゲットにしたベタベタなお土産を売っているお店にはまだ辛い時期が続いているのだろうが。
 
今回初めて歩いてみた京都一周トレイルだが、登山というには軽すぎではあるものの、体力維持のトレーニング用のコースとしてはちょうどいいと感じた。
今回歩いたのもほんの一部で、他のコースも含めて何度も楽しめそうだ。
次回は北白川から比叡山までのルートでも試してみようか。
 

スタート地点。 このような道標がコースの要所にあるので安心。

清水山山頂。 右奥にある四角い石が三等三角点の標柱。

将軍塚から望む京都市街。 京都タワーがやっぱり目立つ。

歩きやすい道。 自然林なので様々な樹木が生い茂る。 親切な人が毎度おなじみの赤テープで道案内。

大文字山山頂。 もうちょっと立派な表示にしてもいいのに。

大文字の火床。 「大」の字のてっぺん部分。