2020年秋登山 その1~乗鞍岳~

秋は通関士試験、貿易実務検定など貿易関係の試験、検定がめじろ押しなので、受講生や学生の合格祈願の登山を実施した。
今回登ったのは北アルプスの乗鞍岳。
山頂にある乗鞍本宮神社奥宮の御祭神の一柱、五十猛神のご利益が造船、航海安全、商売繁盛で貿易っぽいというのがその理由だ。
 
乗鞍岳はいくつものピークから構成されていて、最高峰である剣ヶ峰は標高3,026m。
日本百名山の一つにして日本に21峰しかない3,000m峰の一つ(19位)だ。
こういうと登頂がすごく大変そうに聞こえるが、実は一番高い登山口のある標高2,702mにある畳平というところまで自動車道が通っており、登頂のための標高差は300mほどしかない。
3000m峰の中では一番、百名山の中でも五指の入るほど登りやすい山だ。
畳平には飛騨(岐阜)側と木曽(長野)側から自動車道が通っているのだが、今年は飛騨側からの乗鞍エコーラインが台風被害で通行止めになっており、大阪からだとちょっと遠回りになるが木曽川から向かうことになった。
なお、自動車道といっても、自家用車が乗り入れることができるのは山麓の乗鞍高原(標高1,500m)までで、そこからはシャトルバスで向かうこととなる。
 
事前の予報では晴天だったにも関わらず、登山前日夜から曇りはじめ、当日朝には厚い雲が垂れ込めていた。
今にも雨が降りそうだったが、予報では曇り時々雨程度だし、レインウェアも持っているしということで諦めずに畳平までのバスに乗る。
始発である7:00発のバスは5台で、それだけ登る人が多いということだ。
畳平までは50分の道のりだが、雲のせいで景色はほとんどなく、始まりつつあった紅葉も精彩を欠いている。
「まあこういう日もあるさ」と山では開き直るしかない。
おそらく2,000mを超えたぐらいで紅葉するような高木もなくなり、ハイマツの緑と砂礫のみの風景になってくる。
 
畳平で朝食を済ませ、既に下界に比べてかなり気温が低くなっていたので、レインウェア兼用の防寒具を着用し、8:30頃に登山開始。
人気の山だし、山小屋である肩の小屋(御来光を見たい人はここに泊まる)は結構な収容能力があるので物資輸送に車を乗り入れる必要があるのか、そこまでの道は緩く広い。
しかし核心部はここからで、石がゴロゴロと転がる急登となる。
まあ急登とはいえ、段差が揃わない階段が延々と続く大山に比べたら全然楽チンでかなりスイスイ登れていく。
もっとも蟻の行列とまではいわないが、他の登山者も大勢いたので彼らに釣られて歩を進めていっている感もあったのだが。
途中で小雨が降ってきたが大して気にならない程度。
それよりも本来ならば絶景のはずの風景がまったく見えないことの方が残念で、「雲切れろ~、雲切れろ~」と祈りながら登っていく。
 
乗鞍岳を構成する一峰である朝日岳を巻いてハイマツもなくなったあたりで尾根筋に出る。
尾根に出れば急坂はなくなるものの、そこは風の通り道だったらしく、いきなり飛騨側から体が煽られるほどの強風が下から吹き上げてきた。
風上に顔を向けると息ができないほどだが、ここは踏ん張るしかない。
強風の中、別のピークである蚕玉岳を超えるとその先にうっすらと剣ヶ峰山頂の乗鞍本宮神社奥宮の姿が。
 
剣ヶ峰に着いたのは10時半頃。
「久しぶりの3,000m超え!」と喜び、また、この登山の目的ではる奥宮への参拝。
皆さんにいい結果がでますように!
乗鞍岳山頂の標高表示板は外れてしまっているのか元からそうなのかは不明だが、地面に置かれているので、他の人と同じく持ち上げての記念撮影(定番のポーズ)。
気温が1℃で寒いのと、記念撮影待ちの行列ができているのであまり長い時間山頂気分を味わうこともなく、辞去。
もっとも周りは雲で真っ白、なんの景色も見えないというものあるのだが。
 
山頂直下にある頂上小屋(売店のみ)で風除け&山シャツを購入しているとようやく少し雲が切れてきた。
下方に黄色い絨毯のように紅葉している山麓が見渡せ、ようやく紅葉登山の気分を味わえた。
そして遠方に登山者の憧れ穂高連峰の前穂、奥穂、ジャンダルム。
「もう少し左側の雲が流れてくれたら槍ヶ岳(槍穂)が見えるのに!」と思うが、なかなか雲は動いてくれず、帰りのバス便の時間もあるのであきらめて降りざるを得ない。
帰路では往路では全く見えなかった摩利支天岳頂上の太陽コロナ観測所、いくつかの火山湖や堰止湖(実は乗鞍岳は活火山)も見えた。
ほぉ、こういう山並になっていたのか!
火山湖の中にはきれいな緑色をしているものもあったが、あれはむしろ近づいたらヤバい成分が溶け込んでいるに違いない。
畳平に帰着する直前ふと穂高方面を見ると、雲が流れたのかやっと槍ヶ岳の特徴ある山容が!
やっぱり目立つよな~、いつか登りたいよな~と思いながら、帰着したのは12時。
まあほぼコースタイムどおりというところか。
 
今回はピークを目指して剣ヶ峰を目標としたが、乗鞍岳にはほかにも景色がよいピークがいくつもあるようだ。
今回、目的の一つでもあった雷鳥にも出会えなかったし(遭遇したと言ってる人がいた)、また来たいなぁ!

標高2,702mと日本一高い畳平バス停。周辺は真っ白。

 

 

 

 

 

 

 

 

人気の山のため、こんなにたくさんの登山者が。

剣ヶ峰山頂はもうわずか。神社の鳥居も見える。

山頂で記念写真。

遠くに穂高連峰のシルエット。中央の尖っている山が槍ヶ岳。