夏の硫黄岳(八ヶ岳)へ

7月18日(日)、今シーズンの夏山登山1発目ということで、八ヶ岳のピークの1つ、硫黄岳(南八ヶ岳・標高2,760 m)に登ってきた。
山頂付近に「爆裂火口跡」と呼ばれる断崖絶壁で知られる山だ。
今年3月の北横岳(北八ヶ岳)に続いて、八ヶ岳は2峰目。
八ヶ岳は日本百名山の1つであるが、一般には北八ヶ岳は百名山には含まれないと言われるので、今回は百名山登山でもある。
(ただし、南八ヶ岳最高峰は標高2,899mの赤岳)
硫黄岳への登山道は桜平登山口(標高1,900m)からであれば、岩場も鎖場もないため八ヶ岳の中でも初級者も向けと言われる。
ただそれだけに登山口駐車場は早い時間から埋まってしまうことが多く、私が到着した7:00でもギリギリ空いていたという状況だった。
 
登山口から夏沢峠(南北八ヶ岳の境界。標高2,440m)までは登りも緩やかな歩きやすい道。
鳴岩川の支流のせせらぎと野鳥の声が耳に心地よく、また登山道の両側の林は苔むした様子が美しい。
八ヶ岳の苔林は有名で、また、珍しい種も多いらしく、熱心に写真を撮っている人もいたが、さすがに私では区別が全くつかない。
そんな中、前方を歩くグループが突然立ち止まってカメラを構え始めた。
なんだ?なんだ?と思って近寄ると、木立の中にニホンカモシカが一頭佇んでいた。
ニホンカモシカはそれほど希少種ではないらしいが、直に見るのは初めてだったのでちょっと感動。
皆の撮影中はじっと動かずにこっちを顔を向け、カメラをしまうと歩き始めたので、けっこう人馴れした個体だったのかも。
 
しかし、こんなゆったりとした登山道も夏沢鉱泉、オーレン小屋を過ぎ、そして、夏沢峠にあるヒュッテ夏沢に到達するまで。
ここからは山頂まで約330mの標高差を1時間ほどかけて直登する急坂。
八ヶ岳はかつて火山だったため、登れば登るほどガレ場になり歩きにくくなる。
途中で森林限界を超えるため、直射日光にさらされることになるが、ここまで登ると気温は20℃を切っていただろうから(この日の下界の気温は35℃)暑いということはない。
終盤の稜線に出る手前あたりでは、そろそろ疲労が溜まってきた身体が「もうこれ以上、足を持ち上げたくないよ~」とワガママを言ってくるが、それを封じ込め、道を示すケルンを辿ってえっちらおっちらと登る。
 
やっと稜線まで上がると、眼前に広がるのはずっと見たいと思っていた爆裂火口跡の豪快な絶壁。
どうやらこの岩壁にはイワツバメやアマツバメが数多く営巣しているらしく、かれらの群舞がカッコいい。
その一方で登山道の横ではイワヒバリがちょこちょこと跳ね回る。
こんな岩しかないような所でも、野生の生き物たちはしっかりと生命を育んでいるのだ。
 
硫黄岳登頂は11:00。
約4時間かかっているので、コースタイムよりは少し時間がかかってしまった。
山頂はテーブル状に開けており、北側斜面の爆裂火口跡だけでなく360℃の眺望が広がっている。
八ヶ岳の峰々や中央アルプスはもちろんのこと、さらに遠く浅間山や瑞牆山や金峰山も見える。
ただ、楽しみにしていた北アルプスや南アルプスは山頂付近が雲に隠れていて見えなかったのは残念。
 
雲がどっかに行ってくれないかなーと山頂で待つこと1時間。
状況が好転しそうにないので、下山することに。
予定では山頂より少し下った硫黄岳山荘で山コーヒーを飲もうと思っていたが、登り返しする体力がなさそうなので断念。
登りとは別ルート、赤岩の頭を経由するルートで降りていく。
途中、白砂が広がっているように見える場所があったので、そこの石を拾ってみたら予想通り軽石だった。
さすがかつては火山だっただけはある。
 
元の桜平駐車場に戻ったのが14:30頃。
山頂で1時間もいたとしても7時間30分はちょっと時間がかかり過ぎ。
やはり、この長梅雨でトレーニング登山がほとんどできなかった(加えて、熊出没のニュースで六甲山登山をやめた)ことで、体力がだいぶ落ちているようだ。
今シーズンもう1つは本格的な山に登りたいが、それにはちょっと鍛えなおさなきゃいけないね。

夏沢鉱泉(標高2,006m)

ニホンカモシカに遭遇

夏沢峠にあるヒュッテ夏沢(標高2,440m)から硫黄岳山頂方面を望む。

稜線に出ると眼前に広がる爆裂火口跡。

登頂!長袖でも涼しい。

山頂より南八ヶ岳を望む。中央が最高峰の赤岳。