「びじゅチューンEXPO」に行ってきた

昨日は天気が悪かったので空いているだろうと思い、グランフロント梅田で開催中に「びじゅチューンEXPO リターンズ」に行ってきた。
(※リターンズとあるのは、おそらく昨年のがコロナ禍で十分に開催できなかったからであろう)
 
「そもそも『びじゅチューン』とは何なのか?」と聞かれるとなかなか説明が難しい。
NHK Eテレの美術をテーマにした番組であると言えば簡単ではある。
しかし、既存の美術品をそのまま解説する番組ではない。
アーティストである井上涼氏が作品を観察・模写をしていくうちに浮かんだインスピレーションを元にした独自のストーリーを、これまた井上氏が作曲、作詞、アニメーションを作成し、自ら歌まで歌ったものだ。
その浮かんだストーリーがまた奇想天外(その作品の元のテーマはガン無視)で、また、ゆる~いアニメーションとゆる~い調子の歌が頭に残ってしまうのが楽しい。
とはいえ、作品のエッセンスはちゃんと盛り込んであって、これを見ると元の作品も見たくなるという仕掛け。
 
今回のEXPOは、番組で取り上げた作品のいくつかを立体化し、または、来場者に参加してもらえるようにしたもの。
例えばアンリ・マティス「ダンスⅡ」だと、「まるで頭に回転ずしを乗せているよう」ということで、自分が頭に寿司のカチューシャを着けてダンスに参加した写真を撮ることができる。
また「鳥獣戯画」だと、「ジムでトレーニングをしているよう」ということでトレーニング機器を置いていたり。
どういった流れで番組が作られているのかも、高村光雲「老猿」をテーマにした回を使って説明していたが、これも面白かったので必見。
(老猿は主役じゃなくても:https://www.nhk.or.jp/d-garage-mov/movie/33-109.html
中でもヒエロニムス・ボス「快楽の園」をモチーフにした「地元が快楽の園」は、私がこの絵を好きなのもあって、頭の中でヘビロテしてしまっている。
そりゃあ美術とは!芸術とは!としゃちほこ張って考える人にしてみたら邪道・外道もいいとこかもしれないが、こういうところから入って美術・芸術に興味を持ってもらおうというEテレの意図は実に面白い。
まさに民放ではできない番組だろう。
こんな番組が長く続いて欲しいと思うとともに、また別の作品を使ってこのイベントをやってほしいと思う。