トランプ大統領に対峙するには?

トランプ大統領(以下、トランプ)が就任してから2ヶ月が経過。
ニュースにトランプの名前が出ない日はなく、また、いろいろと変化と混乱を与えているのはご存じのとおり。
とくに関税引き上げについては、どの国も敏感になっており、各国首脳級がトランプ詣をして免除や延期を認めてもらおうと必死だ。
日本も首相や経済産業大臣が訪米して、日本は免除対象にしてもらおうとしたものの、うまくいかなかったようだ。
同盟国という「絆」すら、トランプにとってはどうでもいいらしい。
 
しかし思うに、どうして各国首脳は1対1で交渉しようとするんだろうか。
大きな相手に「許しを請う」形で直接臨んでも、軽くあしらわれるだけ、悪くすればさらに不利な条件を飲まされるだけだ。
これは、外交交渉に限った話ではないだろう。
 
日本政府が米国に対する武器を持たず(ちらつかせず)にただ許しを請う形で交渉に臨んだというなら、悪手もいいところだ。
実際にするかどうかはともかく、日本政府保有の米国債の一部売却でもちらつかせれば、米国債の大暴落を恐れて関税引き上げの免除を勝ち取れる可能性は高かったのではないだろうか。
 
そもそもトランプに対しては、1対1で交渉をすること自体が間違いと言える。
あの一方的に、かつ、思い込みを断定的にまくしたてる口調にその場で言い返したところで、さらに圧をかけてまくしたてられるだけで、交渉にならない。
また、イスラエルやウクライナに関する件を見てもわかるように、交渉の場で言ってもないことを、後の記者会見で勝手に決定事項のように語られてしまう。
1対1の交渉はむしろリスクが高いとさえ言える。

こういう相手には、関係する、また、課題を共有する複数国で交渉に挑むべきだ。
これはコメンテーターの誰も言っていないが、トランプは存外、複数人(国)との交渉には弱い。
まくしたてても、多方面から言い返され、記者会見で勝手なことを言い出しても、複数人が否定すれば間違いだと明らかにされるからだ。
実際に、第1期から見てもトランプは多国間交渉の場で成果を上げることができていない。
大阪で開催されたサミットでもそれほど存在感を示せていない。
考えれば、TPPから脱退したのも、パリ協定や国連人権理事会から脱退したのも、WHOから脱退したもの、多国間交渉が苦手だからではないかと思う。
 
日本政府はアジア各国と連合を組んで、それこそCPTPPやRCEPの枠組みででもいいが、集団で交渉に臨むべきだと思う。