トランプ大統領のG7から途中離脱から思うこと

トランプ大統領がG7から途中帰国したそうで。
私からしたら、まあ予想どおりということで。
 
前にも書いたことだが、トランプは自分が吹聴しているほどディール上手ではない。
これまでの事例から見ると、相手より強い立場からギャーギャーまくしたてて要望を飲ませることしかできていない。
だから自分が下と思ってないロシア・プーチンには弄ばれ、中国・習近平には撤退に撤退を重ねて国内で「TACO」と呼ばれる始末。
 
もちろん「相手より強い立場」になれることは重要だが、トランプの場合はビジネスにおいては親から引き継いだ資産だし、大統領としても米国が強い立場なのは過去からの資産だし、いずれもトランプ自身が築きあげたわけじゃないのがポイント。
そういう意味で、不利な状況にも屈しないタフな交渉テクニックを身に着けてはいないと認識していいだろう。
 
その「実は交渉上手なわけではないトランプ大統領」が苦手だろうと私がにらんでいるのは、1対1になれないグループ交渉。
これも前に書いたが、前回政権のときも、サミットやTPP交渉といった多国間交渉では見るべき成果を上げていない、または、席を蹴立てている。
 
だから、今回のG7も同様に逃げるだろうとは思っていた。
G7では欧州にスクラムを組まれれば圧倒的に上に立場でいられるわけではないので、意向をまるまま飲んでもらえない。
交渉下手なので状況に応じての対応策を持てないのだろう。
多国間交渉で必須の「複数意見をオーガナイズする能力」もないのだろう。
それがバレる前に撤退を図ったと考えていいだろう。
 
まあ、名代にヴァンス副大統領を派遣するんじゃないかと思っていたところ、一応は自分でその場には行ったのはさすがにチキン扱いされるのを恐れてのことと思う。
中東情勢とか名目にして帰る理由ができてよかったね、というところだ。
 
今のところ日本政府は対トランプで意外にタフな交渉をしているようだ。
一見、成果が上がっていないようには見えるが、こちらから餌になるカードを出してはいるものの、米国側からの要求を折れて丸呑みしていない現状は一定の評価をしてもいいと思う。
もっとも「押し続ければ向こうが折れる」ぐらいの強気に出てもいいとは思うが。