富士山に無謀登山をする人がまだいるらしい

今年の富士山の夏山シーズンは9月10日に終わったとのこと。
「夏山シーズン」とはいうものの、他の時期は一般人は山頂までのルートは閉鎖、山小屋も終了しているので、つまりは「来年までサヨウナラ」ということ。
(自衛隊なんかは冬季訓練をしたりするらしいが)
 
今年から始まった入山ゲートでの装備チェックや山小屋予約の義務化などによって、遭難者も死者数も減少、とくに静岡県側の死者は0名だったとのこと。
ただ、装備チェックでは1,000人を超える人が指導を受けて服装などを改めることになったそうだ。
困ったことに登山道閉鎖後にもゲートを迂回や潜り抜けて登る人がけっこういるとのこと。
下界ではまだ真夏みたいなこの時期でも、富士山山頂では最高気温でも10℃は切っており、さらに独立峰である富士山では風速10m近くは常にあると考えていい。
風速1mごとに体感温度は1℃下がるので、実質真冬の気候なのが富士山。
ケッペンの気候区分では、富士山頂はツンドラ気候に分類されるぐらいなのだから。
そういう中で、夏山気分で富士山に登ろうとするのは(それはシーズン中でも)無謀としかいいようがない。
 
私は山登りを多少なりともたしなむが、無謀登山の怖さはよく知っている。
登る日の全夜半に片頭痛がしたので鎮痛剤を飲んだせいで、登山中に顔が真っ青になるほど体調を崩して途中撤退したこともある。
それも、ファミリーハイクの定番、金剛山(大阪・奈良、標高1,125m)でさえだ。
また、樽前山(北海道、標高1,022m)の秋山登山で急に霙混じりの雨に遭遇し、パーティーメンバーが(撥水パーカーを着ていたにも関わらず)低体温症でひどい状態になったこともある。
こういう経験があるので、体調でも天候でも状況が悪そうだと判断したら撤退することにしている。
 
登山道閉鎖期に無謀登山する者に対しては、遭難時の救助は有料にすべきという意見があるが、私はこれには賛成だ。
もっと言えば、ゲート破りで登山をしようとする者も逮捕できるようにすべきだとも思う。
少なくとも8合目以上は富士山本宮浅間大社の所有地なので、大社が禁止といえば不法侵入の罪が成立するだろう。
 
その一方で、外国人観光客は装備にせよ、登山道閉鎖期にせよ「そういうルール」を知らずに来ている可能性はある。
5合目までは普通にバスで来ることができて、そこで初めて登れないと知ることになった人もいるだろう。
思うに、外国の観光ガイドブックでは「富士山はたやすく登れる山」と紹介されているのではないだろうか?
日本でも某”歩き方”では、旅行者からの口コミによる情報があるが、「本当は危ない場所なのに、たまたま無事だった人の投稿記事」で旅行者が危険にさらされる可能性が言われることもある。
確かに富士山は世界レベルで見れば登山道が整備されている方だし、山小屋もあり食事も摂れる山だが、その紹介の仕方が読者にミスリードを与えている可能性があるのではないか。
観光庁は各国大使館に指示して、主要な日本観光のガイドブックをチェックさせ、富士登山について誤解を与えるような記述があるようならば、訂正・改善するようにアドバイスするべきじゃないかと思う。
日本になんでもウェルカムするための施策を行うことだけが観光庁の役割ではないだろう。
 
観光に来ている観光客だって、遭難したい、死にたいとは思ってないだろう。
ただ「せっかく日本に、憧れの富士山に来たのだから」という思いが先に立ってしまっているだけの話だ。
「そもそも間違った季節に来ないでね」とアドバイスしたほうが、来たのに登れずがっかりした思い出を持ち帰るよりもいいはずだ。
 
それでも登ろうとする人には?
もっとゲートを厳重にし、日本人だろうが外国人だろうが遭難や死亡した際にかかるであろう救助費・搬送費分をデポジットとして徴収するのがいいのではないかな。
そこを迂回しようとするなら、上記のように何らかの理由で逮捕できるようにすればいいと思う。