「領土・主権展示館」に行ってきた
東京出張の折に、Google Mapで見つけてから行ってみたいと思っていた「領土・主権展示館」に行ってきた。
展示館は霞が関ビルの道路を挟んだ向かい側、ダイビルの1階にある。
東京・虎ノ門にある日本政府内閣官房が運営する、日本の領土問題に関する博物館だ。
虎ノ門は前のジェトロ本部があったところなのだが、私が退職後に開通した環状第2号線道路(通称、マッカーサー道路)のためにあちこち変わっていて少々戸惑った。
展示館のテーマである「日本の領土問題」とは、「北方領土」、「竹島」、「尖閣諸島」の3つ。
日本政府のスタンスとしては下のとおり。
・北方領土、竹島はそれぞれロシアと韓国によって不法占拠されている状態
・尖閣諸島は(本来、領土問題は存在しないにも関わらず)中国や台湾に主権を脅かされつつある状態
そこで、これらが「歴史的にも国際法上も日本の領土である」ことを示す根拠資料(歴史的な経緯を示す資料)が展示されている。
展示内容は、それぞれについて、過去の経緯から現状を説明する映像や、日本政府の主張根拠となる古文書(手紙や布告など)のレプリカなど。
子供にもわかりやすいように、ゲームやクイズ形式の展示もある。
領土問題については、前から関心があったのでそれなりに知識はあったが、(レプリカといえど)主張資料を見ることができたのが良かった。
また、こういった問題に対して日本政府が、主張と対話、そして、国際協調によって解決を図ろうとしている姿勢がよく見て取れた。
動く・動かすことができない隣国が相手である以上、ビジネス上も文化上も交流は不可欠なのであって、「それはそれ、これはこれ」というスタンスが必要なのは言うまでもないし、政府間としての仲と国民間の仲は完全一致である必要もない。
以前、ある国の方に「日本は領土問題がある場所が3つしかなくて幸せだね」と言われたことがあるが、むやみに争って国レベルでの憎悪を増やすのはソーシャル・コスト的にも得策ではないだろう。
平日午後だったのもあって、来館者はごく僅かだったが外国の方(欧米系?)もいた。
日本政府の立場として力による解決を図るという選択肢がない以上(また、よしんば力による解決を図るにしても)、諸外国に日本の味方になってもらうことは重要なのであって、多言語対応を含めて海外向けのアピールもより力を入れるのではないかと思う。
その一方で、展示館では日本側の主張がほとんどであったが、はたして相手側はどういう主張をしているのかも示し、それに対する反論を堂々と行った方が良いのではないかとも思った。
ロシア、韓国、中国、台湾の人々にも来てもらって「日本政府としての主張はこうだ。論戦はいくらでも受けて立つ。」ぐらいの姿勢があってもいい。
なかなか知られていないであろう小さな展示館だが、日本人の限らず世界からもっと多くの人に来てもらいたいし、学生・生徒の修学旅行のコースに入れてもいいぐらいのところだと思った。

戦後の日本の領域についての国際的な根拠「対日平和条約」の複製。


イメージキャラクター。右から、尖閣諸島(アホウドリのアルバ)、竹島(アシカのりゃんこ)、北方領土(エトピリカのエリカ)

