年度末の騒動(暫定法の話)

もう年度末ですが、この時期になると思い出す騒動(?)があります。
それは2007年度末(2008年3月)のこと、「ガソリン国会」と言えばどんな年度末だったか思い出す方もいるかもしれません。
ガソリン国会の顛末についてはここで説明はしませんが、要はガソリンの暫定税率が次年度に延長されるかどうかという議題がねじれ国会によってすったもんだしてしまったという話です。
その結果、3月末~4月頭と4月末の2回、暫定税が上乗せされない安いガソリンを求めてひと騒動ありました。
(詳細に興味がある方はこちら(Wikipedia)をご覧下さい。)

ガソリン税に限らず、暫定税率の元になる「暫定法」は基本的にはその年度内のみ有効です。
次年度にも適用させるのであれば、国会でその法律の期間を法改正する必要があります。
しかし、2008年3月当時はねじれ国会のために、年度内に期間延長の法改正が決議されない可能性がありました。

報道ではガソリン税の話題ばかりでしたが、実は貿易の世界にも暫定法はあります。
代表的なものが「関税暫定措置法」で、暫定税率(通常より高くなることが多い)や特恵税率(通常より低くなる)を定めているものです。

そう、これがねじれ国会のために期限切れとなってしまう可能性があるわけです。
期限内に関税暫定措置法の延長が議決されれば、4月からも暫定税率や特恵税率が適用されますが、議決されなければ適用されなくなります。

関税率は原則として「輸入申告の日」のものが適用されますから、少しでも低い関税率の適用を受けるためには、3月中に輸入申告するのと、4月に輸入申告するのと、どちらがよいのか迷う事態になったわけです。
とくに、特恵税率が使える途上国からの輸入で、貨物の到着が3月末に間に合うか、4月に入ってしまうか微妙なところは気が気でなかったでしょう。

結局この年、ガソリン税は暫定法の延長が間に合わなかったのですが、関税暫定措置法は3月31日夜という、ほんとうにギリギリのタイミングで延長の議決がなされました。
新聞ではほんの隅っこにしか出なかった記事ですが、多くの輸入関係者がほっと胸をなでおろしたことと思います。

今となっては、関税暫定措置法みたいな国会で争点になりそうにないものなら、結局は3月中に議決されるだろうと楽観的に見る方がほとんどでしょう。
「そんな年もあったねー」と笑い話になっていますが、国会に直接的に翻弄されることもあるんですよね、貿易の世界って。(I)