リチウムイオンバッテリーの航空運送

昨日のニュースでこういうものがありました。
リチウム電池持ち込みでトラブル=LCC社員殴った容疑で逮捕—千葉県警」(THE WALL STREET JOURNAL)

飛行機に乗る方はご存知だと思いますが、旅客として航空機に乗る際、携帯電話の充電バッテリーなどの「リチウムイオンバッテリー(以下、リチウム電池)」は受託手荷物にすることはできません。
ただし、機内持込荷物にすることはできます。
なので、スーツケースなどにリチウム電池を入れたまま受託手荷物にしようとして、空港のセキュリティ検査機器(X線)に通すと、機内持込荷物にするように言われます。
今回のトラブルは、「出すように言われたのでキレて暴行」ということだったわけですね。

これは、リチウム電池が、航空運送における「危険物(Dangerous Goods)」のClass 9 に該当するためです。
リチウム電池は、ショートによる発火・爆発の可能性があるので、危険の発見が遅れる貨物室への受託ができないのです。

となると、「じゃあ、航空運送でリチウムイオン電池は運べないの?海上運送しかできないの?」と疑問に思われるかもしれません。
いえ、そうではありません。
危険物運送に係るしかるべき手続きをすれば、航空運送をすることができます。
具体的な手続きとしては、国連規格容器(必要な耐久性のある容器)の使用、第9分類の危険性ラベルの貼付、危険物申告書(Dangerous Goods Declaration)の提出などです。
ただ、リチウム電池単体で運送する場合と、電池を組み込んだ機器の場合とでは扱いが違います。
このあたりはややこしいですのが、Fedexのウェブサイトにわかりやすくフローチャートが出ていますので、参考にしていただければと思います。
さらに詳細はこちらをご覧下さい。
安全かつ確実にリチウム電池を出荷する方法を学ぶ」(Fedex)

ちなみに、こういう航空危険物運送に係る知識や、書類作成などのスキルを測る資格試験が「IATA Diploma 危険物コース」です。

ところで、リチウム電池とは逆に機内への持込が制限(基本的には禁止)されているのが、容量100ml以上のペットボトル飲料やジュースです。
買ったばかりでまだ飲んでいない飲料を持ち込みできないと言われて、イラっとすることもあるかもしれません。

しかし、こちらが持ち込み制限をかれられているのは危険物だからではありません。
これは、液体爆発物を利用した航空テロを防止するための措置。
2006年に明らかになった「英国での航空機爆破テロ未遂事件」が液体性爆発物を使用する計画だったために、全世界的に持ち込み制限がかけらたものです。

これから夏に向けて、旅行シーズンになりますが、機内持込みじゃなければいけないもの、機内持込みができないもの、そういうことを知っておいて、混雑する空港の手続きが少しでもスムーズになるようにすれば、気持ちよく旅行ができるというものです。
まあ、自分より前の人がそれで空港のスタッフにゴネまくった結果、待たされてのイラっとはどうしようもありませんが・・・