日本食にはかつおぶし!

今、イタリア・ミラノで国際博覧会、いわゆる「ミラノ万博」が開催されています。(2015年5月1日~10月31日)
この万博のテーマは「食」です。
世界遺産に「日本食」が登録されたこともあって、日本政府も日本館で大いに日本食をPRすべく、カレーライスやライスバーガーなどをフードコートで、本格的な懐石料理をレストランで提供しています。

しかし、この日本館での日本食提供には大きな障害がありました。
毒をもっているフグや、様々な規制のある肉類、乳製品、かつお節など日本食材に、EUへの輸入規制があるということです。
とくに日本食に必須の「カツオ節」の輸入が規制される理由は、カツオを燻す過程で使うタールや焦げによって発がん性物質が生成されること、そして、高級カツオ節である本枯れ節に使うカビによるカビ毒が、EUの基準を超えているという理由です。
衛生基準というのは各国にあって、それは自国民を守るためなので、EUの日本文化否定であるとかいう問題ではありません。
日本にも他国から見れば、厳しすぎる基準が設けられているものがあるかもしれません。

しかし、現実問題としてカツオ節が使えないというのは、ホンモノの日本食を出したい日本館、いや、EU域内の日本料理店すべてにとって、由々しき問題です。
そこで、最近では、日本企業がEUに工場を設立の上、EU基準を満たすカツオ節を作るべく、技術開発を行っています。
既に、新製法で作られたものが、日本のかつお節に相当近いレベルの味にまでなってきているそうです。

この新製法の欧州産カツオ節はミラノ万博の日本館には間に合いませんでした。
そこで、日本政府はこの見本市のみの特例として、日本からのカツオ節輸入を認めることを要請しました。幸いこれが認められ、あくまでも万博開催中・開催期間中のみ輸入が認められることになりました。
水産庁:水産庁による「EXPO Milano 2015」向け水産食品の持込みに必要な証明書の発行について

海外における「日本食ブーム」は、けっこう前から、また、かなり広い地域で続いています。
しかし、ホンモノの日本食を広めるには、まだまだ理解をしてもらう必要があることは多いということですね。この万博を機に、カツオ節に限らず各種日本食材の安全性について、日本政府が各国へのPRを進めて欲しいものです。