関税率の調べ方

貿易実務のセミナーをやっていると、よく「関税率はどうやって調べればいいのか?」という質問をもらいます。
通関手続きは、業者に任せることが多いので、いざ自分で調べるとなると、その方法がわからないのかもしれません。

日本への輸入関税率を調べるには、税関ホームページに掲載されている「実行関税率表」(以下、関税率表)を使うのが一番確実です。
※過去版もあるのは、輸入申告のタイミングなどでいつのものを使うのかが変わるからです。

ただ、関税率表を使うには、輸入しようとする商品の品目番号、いわゆる税番(日本の場合は10桁の数字となります)を知る必要があります。
関税率表に記載されている内容で分類すると不十分であることも多いので、関税率表だけでなく「関税率表解説・分類例規」を確認することも必要です。
それでも適用させるべき税番や関税率に迷いが生じたときは、税関に相談するのが一番です。
こちらの照会先に問い合わせることができますし、より確実に実際の通関時に適用されるものを知りたい場合には事前教示制度を利用することもできます。

一方、日本から輸出をする場合に相手国で課される関税率は、日本の税関で調べることはできません。
一番手軽な方法は、ジェトロのウェブサイトにある「世界各国の関税率」コーナーで調べることです。
これは、本来はFedexが提供している有料サービスですが、ジェトロとFedexの提携により日本の居住者なら無料で利用できるようにしているものです。
175カ国について調べることができますが、事前に無料のユーザー登録が必要なのでご注意を。

ただ1つ欠点を挙げるとすれば、ここに掲載されているものが最新のものとは限らないということです。
より確実に調べたい場合は、各国の税関サイトを使うのがいいでしょう。
Googleなどの検索サイトで「対象国名 customs tariff」のキーワード検索をかければだいたい出てきます。
検索機能が充実している国、PDFのダウンロードのみの国と、提供方式には色々ありますが。

一方、税番はどう調べるかですが、税番は上6桁までは世界共通で、それ以下は各国の独自コードという構成になっています。
なので、日本の関税率表である程度の「アタリ」をつけて、あとは各国の関税率表で6桁以上の番号を調べるという手順がいいと思います。

以前は、関税率は輸入する場合のみ調べればよく、輸出の場合にはあまり気にしないという企業も多かったようです。
しかし、世界中で価格競争が激化している現在、そういうわけにはいかなくなっています。
輸出マーケティングの一環として、関税を含めた現地価格がいくらになるのかを調べる必要があるというのもひとつです。
しかし、近年の理由として、近年のEPA/FTAのネットワークの拡大も挙げられます。
取引相手国が日本とのEPA締約国である場合、非締約国企業との価格競争において、「日本から購入した方が関税分安く輸入できる!」というアピールする場面が増えているとのことです。
FOB価格、CIF価格での競争だけでなく、その先まで含めた価格で考えてもらうことで自社の価格優位性を訴求するわけですね。
有利なビジネスをするためにも、今回述べた関税率の調べ方を一度お試し下さい。(I)

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