貿易の勉強に役立つ名古屋海洋博物館

日本は海に囲まれた国ですので、海洋や海事、船に関する博物館が各地にあります。
とくに大きな港を擁する街には、港湾行政を紹介することを目的とした博物館があることが多いと言えます。
こういった博物館は、ビジュアルから貿易のイメージをつかんで理解するのに有用です。
大きいのは東京の「船の科学館」なのですが、残念ながら本館の展示公開が長く休止したままになっているのが残念です。

そういった中、皆さんにお勧めしたいのが「名古屋海洋博物館」です。

単にその港の発展の歴史を取り上げるだけの博物館が多い中、ここは、日本有数の貿易港らしく、海上貨物運送に関する展示がひじょうに充実しています。
外国貿易船の入港から検疫や通関などの貨物の動き、コンテナターミナルの仕組みの展示は、船積み/荷降ろしの流れがイメージしやすくなっています。
また、実寸大のコンテナ模型はどの程度の大きさの貨物ならコンテナに入るのかをイメージしやすくなっています。

目立つのがエントランスから入ってすぐのところにある、コンテナターミナルの1/100電動模型です。
コンテナがコンテナ船とコンテナ・ヤードの間でやりとりされる様子がよくわかります。
この模型で特筆すべきは、コンテナヤード内での搬送機械が、世界で初めて導入されたRTG遠隔自働運転システムで表現されていることです。
将来のコンテナ港湾の姿を想像できることでしょう。

また、子供も楽しめるようになっていて、貨物船の操船シミュレーターや、ガントリー・クレーンの操縦シミュレーターもあります。
シミュレーターとはいうもののゲームレベルではありますが、大きなモニターで迫力やリアル感を増しています。
ちなみに、私がガントリークレーン・シミュレータをプレイした結果は「ベテラン級」でした(笑)。
その外、昔の貿易(交易)の様子を紹介するものとして、古代ローマの交易品、海のシルクロードや大航海時代の航海の様子をジオラマを含めて紹介しているコーナーもあり、歴史好きな人にも楽しめるようになっています。

様々な角度で、貿易の世界を知ることができる良い博物館と言えるでしょう。

また、貿易とは違いますが、この博物館の館外展示として、かつての南極観測船ふじが係留されており、中を見学(本館展示とは別料金)できます。
当時のまま残されている設備を見学することができ、南極という特殊な環境のところに向かう船だからこその工夫、船内の人々の様々な役割、さらにはプライバシー・ゼロの三段ベッドで寝る一般乗組員の大変さを感じることができるようになっています。
最近設けられたという「極感ドラマチックシアター」では、「ふじ」の南極海航海の様子や、美しさと過酷さを兼ね備えた南極のダイナミックな自然が上映されています。
巨大な4面スクリーン(正面、両側面、床面)の中に入ってみるのでその迫力に圧倒されます。

名古屋の中心部からほんの少し足を延ばせば行けるこの博物館。
観光スポットとしておススメです。(I)