東京倉庫 高浜埠頭礎石(貿易の歴史散歩)

神戸が古くから国際貿易港として発展してきた港町だというのはいうまでもありません。
この街の人々もその歴史を大事にしているので、ぷらっと散歩していると貿易に関係する史跡に行き当たることがあります。
 
今回見つけたのは「東京倉庫 高濱(浜)埠頭」と刻まれた礎石で、観光客が多く訪れる神戸ハーバーランドのショッピングモール、mosaicの入口横にしれっとあります。
この碑は、ここがかつては、高浜埠頭という貨物船が停泊し、貨物の積み下ろしが行われていた場所だということを示すものです。
この近辺にはかつて一大倉庫群があり、旧国鉄時代に湊川貨物駅もありました。
ここに記されている「東京倉庫」とは、現・三菱倉庫の前身となる倉庫会社です。
この近くにこの会社の倉庫があったことを示す碑もありますが、その碑によると倉庫群は9ヘクタールにも及んでいたそうです。
碑には「明治35年以来90年にわたって」営まれていたと示されているので、倉庫業務の発展に伴って、明治43年より埠頭の整備が行われたということなのでしょう。
明治期から昭和期にかけて、神戸港の貿易貨物運送の拠点として栄えていた様子がしのばれます。
 
当時の煉瓦造りの倉庫群のほとんどは、神戸の国際貿易機能がポートアイランドや六甲アイランドに移るにつれて取り壊されてしまいました。
しかし、残された一部がリノベーションされてレストランなどになっています。
当時の雰囲気を感じることができるよい場所なので、散策にいかがでしょうか。
すぐ近くには川崎重工の工場もあるので、運が良ければメンテナンス中の大きな船や、自衛艦を見ることができます。

東京倉庫 高浜埠頭 礎石