あいち航空ミュージアム
日本には航空関連の博物館が何ヵ所かあり、どこも興味深い展示をしています。
今回は愛知県にある「あいち航空ミュージアム」に行ってきました。
ここは、中部国際空港(セントレア)ができる前は中京地域の中心空港であった名古屋空港(県営名古屋空港)に隣接したところにあります。
なお、名古屋空港は航空自衛隊小牧基地に隣接しており、滑走路を共有しています。
愛知県は全国の航空機部品の5割以上を生産している航空宇宙産業の集積地です。
そのため、このミュージアムの目的も「航空機産業の情報発信」、「航空機産業をベースとした産業観光の強化」、「次代の航空機産業を担う人材育成の推進」となっています。
各地にある航空関連の博物館にはそれぞれ特徴があり、例えば航空科学博物館(成田)は旅客機関連、石川県立航空プラザ(小松)は自衛隊機関連の展示が多かったりするのですが、ここは航空産業の歴史をテーマにしているように見えました。
エントランスがある2階から入ると、世界、日本それぞれの飛行・航空の歴史がパネルで解説されていて、それらを読むだけで十分な歯ごたえがあります。
それこそ世界編ではイカロスの翼、日本編では天磐船という伝説レベルから、現代に至るまで、飛行機のみならず気球やグライダーを含めた先人の努力を見ることができます。
パネルと並行して「名機百選」として、日本の航空史における名機100機の超精密模型が展示されていますが、全て1/25スケールなので、機体の進化に伴う大型化を見て取ることができるでしょう。
1階には様々な実機展示があります。
第二次世界大戦後初の国産旅客機であるYS-11の展示が目を引きます。
昭和40年に航空自衛隊に納入され、昭和天皇も搭乗されたものです。
YS-11は三菱重工小牧工場で試験機1号機がロールアウト、ここ名古屋空港から初飛行(昭和37年)しているので、この地にとても縁が深いと言えます。
そのため、その開発史の展示には力が入っています。
ジブリ映画「風立ちぬ」の主人公である堀越二郎もYS-11開発に重要な役割を果たしているので、同氏に係る紹介も。
同じ県内に「ジブリパーク」があるのも奇縁と言えるかもしれません。
なお、入場者がチャレンジできるフライトシミュレーター(無料)もYS-11仕様です。
私も挑んでみましたが、5段階評価で1というセンスの無さを発揮してしまいました・・・
その他の展示機としては、隣接する三菱重工の関係で同社が開発した機体が多いのですが、なかにはMitsubishi SpaceJet(旧名 MRJ)の旅客スペース・モックアップが。
開発中止となったのが惜しまれます。
また、零戦も置かれていますがこれは実機ではなく実物大模型。
映画「永遠の0(2013年公開)」の撮影にも使用された精巧な模型で、コクピットも完全再現されているのがウリでしょう。
その他にも(他の博物館にはない)さまざまな道具を使って行う整備士体験ができるコーナー、大画面スクリーンと動く座席で空を飛ぶ仮想体験ができるフライングボックスなどの映像コーナーなど盛りだくさんです。
ちなみに、私が行ったときには二宮忠八についてのテーマ展示をしていました。
二宮忠八はライト兄弟よりも先に動力飛行の原理を編み出したとされる愛媛県出身の人。
私が初詣に行く、京都八幡市にある飛行神社を創建した人でもあります。
期せずして私が駐在していた愛媛の偉人の展示を見ることができてうれしくなりました。
「しょせん地方空港のオマケ博物館でしょ?」と舐めてかかると、思った以上に時間を費やして、気が付けば数時間もいたことになることうけあい。
私も帰りの時間のために、全部を見ることができなかったため、また行かねばを思っている次第です。
名古屋駅からバスで約30分と近いのもヨシ。
名古屋観光の目的地の1つとしておすすめできる場所です。

2階にて。名機百選と航空産業の歴史パネル展示。

1階よりYS-11を頭から。

Mitsubishi SpaceJet(MRJ)の客室モックアップ。

丁度、二宮忠八についての展示を開催中。