通関士試験範囲の条文に挑む心構え

前回、通関士試験の勉強では、条文に返ることを軽視しないようにと書きました。
しかし、条文に返るどころか、テキストにはうまくまとめられているはずの各法令の条文を頭に入れるのさえ苦闘せざるをえないのも事実でしょう。

私は通関士の授業第1回目、これから条文の説明に入ろうとする前の心構えとして
「税関は、輸出入者や通関業者を1ミリも信用していない。輸出入者や通関業者は密輸をしよう、関税をちょろまかそうと思っているに違いないと考えている。」
と言います。
だから、法令はそうはさせまい、密輸や脱税させないように穴を防いでいるのだ、と。
もちろんこれは、実際に税関職員の方々がそう考えているという話ではなく、法令を読むときの視点の話です。

条文は「覚える」のではなく、「理解」した方が、捏ねくった応用問題や、シチュエーションを提示するタイプの問題への対応力がアップします。
理解を深めるための方法として、上述の発言に続けて言うことが、
「だから、君達の頭の中で、どうやったらこの法令の網を潜り抜けて、密輸や脱税ができるか考えてみ?」
ということ。

もちろん、頭のいい官僚の方々が考えた条文ですから、まず、穴なんか見つかりません。
なにか思いついても、他の条文、または、政令や通達を見ると、やっぱり無理だったとなるのがオチです。
少なくとも、税関などから許可や承認をもらう、つまり、可否の判断を仰ぐステップが入ってしまうことに気付くでしょう。
しかし、その思考プロセスを経る中で、法令の意味が理解できるようになるので、このやり方はけっこうオススメなのです。
とくに関税法でこのやり方は効果があります。

もっとも、時間が必要ですので、試験本番が近づいてからこんなことをやっている暇はありません。
今ぐらいから、この心構えで勉強を始めてみるのがいいと思います。