平成27年度法令改正-定率法、暫定措置法-

通常、法改正があるときは「○○法の一部を改正する法律」が制定され、それによって「○○法」が改正されることになります。
複数の法律が改正されるときは「○○法及び××法を~」とか「□□法等を~」という名称になります。
本年度4月改正では「関税法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律」となっており、関税定率法の名前が挙がっていませんでした。
つまり、今回は同法の改正はなかったということになります。

では、関税暫定措置法の改正点ですが、ほとんどは例年どおりの年次更新です。
同法は名前のとおり「暫定措置」を定めるものですので、基本的には当該年度末日(3月31日)までという有効期限が定められています。
しかし、ほとんどが持ち越されますので、新たな期限設定として改正で年次更新処理をするわけです。
ちなみに、特恵関税はご存知のとおり、関税暫定措置法にある規定ですので、関税暫定措置法が更新されないと、特恵関税もなくなることになります。

その他の改正点では、「輸入数量が輸入基準数量を超えた場合の特別緊急関税」について、オーストラリアからの輸入数量のカウントの仕方(いつからカウントするのか)についての改正がありましたが、さすがにここは本年だけの話ですし、細かすぎるので通関士試験で出題されることはないでしょう。

逆に、関税定率法、関税暫定措置法関連で「これは細かい!」とは思われるけれども出題される可能性があるものもあります。
法律ではなく、省令(関税暫定措置法施行規則)の改正点ではありますが、この機に説明しておきましょう。
通関実務の科目で、特恵原産地の認定基準となる実質的な変更を加える加工又は製造に係る問題として、「こういう加工をすると原産地が変わるか?」という問題が出題されることがあります。
今回改正されたのは、ニット製衣類(第61類)についてです。
61類は項レベルの変更になる加工や製造だけでは、原産地は変わりません。
従来は、「紡織用繊維の糸」からの製造でなければ、実質的な変更と認められず、原産地が変わったことになりませんでした。
しかし、今回の法改正で「紡織用繊維の織物類又は編物」からの製造でも実質的な変更という扱いとなり、原産地が変わることになります。

原産地基準はあまりにも幅広く、通関実務科目の中では、いっそ捨てたほうが効率がいいかと悩むところではあるのですが、改正があったということで、ちょっと注意しておいた方がいいと思います。