平成27年度法令改正-関税法基本通達-

平成27年4月改正で、関税法基本通達にも改正点がいくつかあります。
このうち、出題の可能性があるポイントは、一般輸出通関における「輸出の許可後の価格変更の取扱い」(67-1-14 )についてです。
輸出許可後の価格変更については、原則どおりであれば、「船名、数量等変更申請書」で申請します。
しかし、例外として価格変更の手続きが不用な場合があり、これが改正となりました。

1.20万円未満の貨物の場合

価格の訂正を省略させて構わない状況として、
これまでは「輸出申告書に記載した価格が 20 万円未満であり、かつ、本来輸出申告書に記載すべきであった価格が 20 万円未満である場合」、又は、「変更しようとする価格と輸出申告書に記載された輸出統計品目表の所属区分ごとの価格の差が千円未満である場合」とされていました。
しかし、今回の改正では上記状況だけではダメで、「価格の記載、計算又は算出の誤りの場合」という条件が加わりました。

2.輸出申告を行う時点において貨物代金が未確定の場合

貨物が有償で輸出される場合の申告価格は、原則FOB価格であることはご存知のとおりです。
しかし、「輸出申告を行う時点において貨物代金が未確定」の場合(同67-1-4(1)ニ)には、特定の算出方法が示されています。
状況としては、輸出後において値引きが発生する場合、貨物の品質若しくは性能の確認を経て貨物代金が変更される場合が挙げられています。
問題は、この方法による算出を行うと、実際の決済金額とズレが出てくるということです。
この場合、これまでは、
「貨物に係る総価格が、決済された額と異なることとなり、その差額が 100 万円未満又はその差額が少ない方の総価格に対して 10%未満である場合は、その許可に係る価格の変更を省略して差し支えない。」とされていました。
つまり、価格変更申請が不要となる上限額が定められていたわけです。
また、輸出者の申し出により(あえて)価格変更の手続を行う場合には、「船名、数量等変更申請書」で価格変更の申請をしても構いませんでした。
しかし、今回の改正によって、(価格の記載、計算又は算出の誤りの場合を除き、)「変更の手続は必要ない」とスッキリしました。

なお、2.で示したものに限らず、輸出申告における価格調整の方法については、同通達67-1-4に具体的に列挙されています。
ここは、通関実務の輸出申告書作成問題における金額調整の段階で重要になってきます。
必ず目を通しておいて下さい。