電卓の活用 1
通関士試験、IATAディプロマ試験では計算問題がありますので、電卓は必須です。
「どんな電卓を選べばいいのか?」というご質問を結構頂きます。
試験のために電卓を買うのはもったいない気がしますが、電卓の使い勝手が合否に影響する場合があります。
試験までまだ日があるので少し早いとも思いますが、計算が速くなるテクニックは早く覚えた方がいいかもしれないので、併せてご紹介しましょう。
いずれの試験も、計算機能のみの電卓しか持ち込めませんので、携帯電話やスマートフォンの電卓や関数電卓は使えません。
経理の方のように業務で使っている人はともかく、最近は電卓をお持ちじゃない方もおられるので(携帯電話などのの機能で事足りる)、そぅいう方は電卓を買わなければいけません。(計算問題では途中で小数点が出るのでそろばんは向きません。)
いまどき電卓は100円ショップで小さいものを売っていますが、小さい電卓だとタッチミスが起こりますし、また、桁数が足りないということもあります。
お薦めは1000円台の「ちょっと大きめの12桁ソーラー電卓」です。
多少重めのほうがキータッチで滑ったりしないのでいいかと思います。
この電卓ですが、使いこなせるようになれば、計算問題のスピードアップに役立つ便利な機能があります。
多くの人が「知ってるけど使い方がわからない」という「Mキー(メモリーキー)」です。
計算結果を電卓に記憶(メモリー)させ、それを活用する機能で、下の3つのキーがあります。
- RM/CM
メモリーを呼び出す。(2回押すとクリアする) - M+
メモリーに計算結果を加算する - M-
メモリーに計算結果を減算する
これに加えて、C/CLキーはメモリーを残したまま計算クリアだと覚えておいて下さい。
(CAキーだとメモリーもクリアされてしまいます。)
例えば下のような計算式があるとします。
100 × 4 - 10 × 5 =?
- Mキーを使わないで計算する場合
100 × 4 と 10 × 5 をそれぞれ計算してメモし、結果を差引くことになります。 - Mキーを使う場合
100 × 4(M+)、10×5(M-)、(RM/CM)
試していただければわかりますが、どちらも結果が350になります。
※もっとわかりやすい実例などは、下のURLを参考にしてみて下さい。
すごいよ!メモリさん
電卓メモリー活用法
この機能をひじょうに便利に感じるのは、とくに通関士試験の輸入申告書作成問題の際です。
申告書作成問題では、運賃や保険料などを各物品に按分するというタイプも問題がひじょうに多く出題されます。
輸出申告書は金額の大きい順に並べ替えればいいだけなので外貨建てで計算してもいいのですが、輸入申告書では円貨での金額まで解答しなければいけません。
その際、計算途中で出てきた小数点以下の数字をメモした金額から円貨に換算すると(レートをかける)、1円単位でズレがでてくる場合があります。
そのため、Mキーを使わない場合には、各物品ごとに毎度毎度按分計算をしなくてはならず、けっこうな手間になります。
しかし、Mキーを使えるならば、按分した結果をメモリーさせておけば、各物品の価格にメモリーから加算させることができます。
Mキーを使えば、圧倒的に計算時間が短縮できるのです。
IATAディプロマ試験でも、寸法だけが示されている複数の貨物の容積を合算するときに便利なのはおわかりでしょう。
なお、一部の電卓にはGTキー(グランド・トータル・キー)というものがついています。
これがまた便利な機能で、「=」で算出した計算結果を全て合算してくれる、いうなればExcelのsum関数機能のようなものです。
M+では1つの数字しかメモリーできませんが、GTでは「=」で算出した(CAでクリアされるまで)全てを合計されるという点が違います。
ただ、GTキーがついている電卓は少し高くなりますので、ご自分がどの程度使いこなせそうかで選べばいいでしょう。