経過する日、経過した日

法令の中には色々な期日が示されていますが、その中には、特定の日からある期間が「経過する日」であるとか「経過した日」という表現がされているものがあります。また、「○○の日後」と「○○の日以後」という表現もあります。
この期間の判別は、通関実務科目の延滞税の算出問題など様々なところで重要になってきます。

例えば、下のようなものです。

  • 経過する日+後
    関税法第12条(延滞税)
    「納期限の翌日から二月を『経過する日』『後』の延滞税の額は、その未納に係る関税額に年十四・六パーセントの割合を乗じて計算した額とする。 」
  • 経過した日+以後
    関税法第14条(更正、決定等の期間制限)
    「法定納期限等から五年を『経過した日』『以後』においては、することができない。 」

この両者(2種類とも)は法律上、厳然とした違いがあります。
まず、「経過する日」と「経過した日」ですが、
・「経過する日」は進行形なので、最終日である日当日
・「経過した日」は完了形なので、最終日が完了した翌日
ということになります。

ちなみに、行政上、一月(間)というのは例えば○月1日を起算日とすると、○月1日から○月末日までです。
よって、ある月の1日を起算日とした一月というのは1日から末日になります。
翌月1日までではないことに気をつけましょう。

例として起算日を1月10日とした場合、一月を「経過する日」は2月9日になりますが、一月を「経過した日」は2月10日となります。

さて、上に挙げた関税法第12条(延滞税)の延滞税率が14.6%になるときですが、「納期限の翌日から二月を『経過する日』後」ということになっています。
上述のとおり、納期限が6月15日だとすると、起算日はその翌日の6月16日、その二月目は8月15日になり、その日を「経過する日」ですから、「納期限の翌日から二月を経過する日」は当日である8月15日です。

で、次に問題になるのは「経過する日『後』」の解釈です。
この「後」は、8月15日を含んだ日からカウントするのと、含まずに8月16日からカウントするのと、どちらか?
これは「前」「後」と「以前」「以後」の違いという話で、「前」「後」のときはその当日を含めない、「以前」「以後」のときは当日を含みます。
つまり、
・「7月10日後」は「7月11日~」、「7月10日以後」は「7月10日~」
・「9月20日前」は「~9月19日」、「9月20日以前」は「~9月20日」
といううことです。

よって、上記の例では8月15日当日を含まずに、翌日の8月16日からカウントした日数が14.6%の対象になります。

延滞税の算出問題は出題頻度はそう高くないのですが、出題されると「経過する日」「経過した日」、「後」「以後」がまじっているややこしさから、大いに受験生の皆さんの頭を悩ませます。
用語の意味を今一度整理し、税関ホームページにある関税法の条文を「経過する日」「経過した日」、「後」「以後」で前文検索して確認するとよいでしょう。

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