担保の規定が重複したときは?

関税法の規定の中には、担保の提供が求められる状況がいくつかあります。
そして、担保の種類にもいくつかあります。

  • 絶対的担保 : 必ず提供しなければならない。
  • 任意的担保 : 税関長が求めた場合に提供しなければならない。
  • 保全担保 : 特例輸入者が輸入申告を行う際に、関税等の保全のために必要と認められた場合に提供が求められる。

担保の提供の規定が、どういう状況で適用されるのかが通関士試験で狙われる可能性があります。
どういう状況で、どんな担保の提供が必要となるのかはきちんと整理しておく必要があります。

ところで、この「担保の提供」の規定が重複する、つまり、「担保の二重提供」という状況が起こったらどうなるでしょうか?
起こりうる状況として思いつくのは、例えば特例申告貨物について、納期限の延長をする場合です。

特例申告貨物は、上記のとおり保全担保ですから、何らかの事情で提供が命じられたとします。
納期限の延長は絶対担保です。
特例申告における担保の提供の規定と、納期限の担保の提供の規定は、担保の対象とすべきもの(関税額相当額)は同一です。
しかし、それぞれ別規定ですので、そのまま考えれば、両方のためにそれぞれ担保の提供をしなければいけないということになります。
つまり、条文をそのまま読めば、「担保の二重提供」という状況が発生します。

しかし、さすが対象が同一のものに対して不適と考えられています。
関税法基本通達9の6-5(据置担保)にて、「保全担保、個別納期限延長に係る担保、包括納期限延長に係る担保、特例申告納期限延長に係る担保及び輸入許可前引取りに係る担保は、同一の担保物件で提供して差し支えない。」とあります。
これを「併用担保」といい、1つの担保で複数の規定に適用できるとされているわけです。