課税価格の考え方 4(コンテナの賃借料など)

1号の「当該輸入貨物が輸入港に到着するまでの運送に要する運賃、保険料その他当該運送に関連する費用」については、よく出題されるテーマです。
とくに「通常必要とされる当該輸入港までの運賃等」がどこまで含まれているのかを考えさせる問題が多く見受けられます。

ここでも、「その貨物の」運送、もっと言えば、「本邦輸入港に到着させるために必要とした費用」は、その運送による「その貨物のValue」の上昇を構成すると考えればわかりやすくなります。
その例、つまり、加算要素として、基本通達では下のものを挙げています。

  • 輸入貨物を運送するために要した積付資材費、船舶改装費等の費用。
    これについては、注記として「当該費用が 2 回以上の運送のためのものであるときは、原則として、運送回数、数量等を考慮してあん分した当該運送に要した額」とあります。
    これは、上記のものが「その貨物のための費用」であるため、貨物のValueを増加させると考えることができます。
    逆にいえば、汎用的に使える積付資材費や、船舶改装費は対象にならないということです。
    (そういったものは通常の運賃に含まれているためです。)
  • 為替相場の変動による補てん金
    これは運賃に関する補てん金です。
    運賃は必ずしも当初の契約金額どおりになるとは限らず、為替変動で増加した分の補てんを求められることがあります。
    これを払わなければ、運んでもらえないのですから、運賃の構成要素と考えるべきです。
  • コンテナー賃借料
    コンテナは輸送器具ですから、運送に必要な機材としてその賃借料は運賃を構成する要素と考えることになります。
    コンテナは船会社から借りて、使用後は返還するもので、その期間の賃借料がかかります。
    課税価格はCIFベースですから、加算すべきは「輸入港到着日(入港日を含む。)」までの賃借料になります。
    これは、運送によるValue上昇期間に合わせてのことです。
    ほとんどの場合、賃借料がどこまでのものなのか仕分けは明白ではないのですが、もし、輸入港到着日までの期間に対応する額が明らかな場合には、「当該賃借料の額は、当該期間に対応する額によるものとし、輸入港到着日の翌日以降の期間に対応する額を含まないものとする。」とされています。

これらは加算要素ですから、上記の費用があった場合において、
-Invoiceに含まれているならば、そのまま含まれていて構わない(±いずれもしない)
-Invoiceに含まれていないならば、含めなければいけない(+する)
ということです。

一方、その貨物の運送によるValue上昇に関係すると考えられないものは、控除要素となるわけです。
その例を基本通達では下のものを挙げています。

  • 輸入港到着後に行われた船舶の復旧に係る費用
    例えば、船舶の清掃費や、専用の積付資材の撤去費用のことです。
    こういった費用は、到着後にかかるものですから、「到着までのValue上昇をさせる」ものではありません。
    また、次の運送の準備のための費用であり、当該貨物のための費用ではないと考えることもできます。
  • 航海用船契約に基づき輸入貨物の運送をした船舶の復路の空船回漕料
    これは用船契約時の帰り船の運賃のことで、空船であるために、まるまる運賃が請求されるものです。
    やはり、これは到着後にかかるものですから、「到着までのValue上昇」をさせるものではありません。
  • 輸入貨物の運送に関連する「着払運賃取扱料」(Collect Charge)及び「立替手数料」(Disbursement Fee)
    これらはいずれも、「船会社への運賃支払方法に係る手数料」です。
    運送のために直接的に必要な費用ではなく、あくまでも「支払方法」に係るものであるため、「運賃を構成する」とはいえませんし、運送に必ずしも必要な費用ともいえません。
    よって、「到着までのValue上昇をさせる」費用ではありません。

これらは控除要素ですから、上記の費用があった場合において、
-Invoiceに含まれているならば、含まれていてはいけない(-する)
-Invoiceに含まれていないならば、そのまま含まれていないままで構わない(±いずれもしない)
ということになります。

つまり、問題に挙げられている費用が「本邦輸入港に『到着させる』ために必要とした費用」であれば、「本邦到着までにValue上昇させているもの」ということになります。
「『到着させる』ための費用ではない」または「『到着させるため』には必ずしも必要でない費用」であれば、「本邦到着までにValue上昇させているものではない」ということになります。
実際に問題では、もうちょっとややこしい言い方をすることもありますが、この区分で冷静に考えてみて下さい。