課税価格の考え方 8(包装の費用)

関税定率法第4条第2号の「ハ」は「当該輸入貨物の包装に要する費用」です。

通関士試験では、これは前回お話した「ロ 当該輸入貨物の容器(当該輸入貨物の通常の容器と同一の種類及び価値を有するものに限る。)の費用」と絡めて出題させることが多いようです。
出題のパターンとしては、特殊な容器なのか、特殊な包装にあたるのかという形です。
前回の話のとおり、「特殊な容器」の費用は、当該輸入貨物の価格に加算しません。
しかし、「特殊な包装」の費用は、ロのようにカッコ書きによる排除がありませんから、当該輸入貨物に加算することになります。

包装の費用が加算要素となる理由は、Valueの視点で考えると簡単でしょう。
商品の提供に必要な包装は、その梱包作業の人件費も含めて、通常、売手が商品を提供する際に必要となるものです。
よって、売手はそれらの費用を販売価格に含めて買手に請求することになります。
売手がそれらのコストを負担した場合には、買手への商品価格の一部として請求額に含めることになります。
買手がそれらのコストを負担する場合には、売手から請求される商品価格とは別に支払うことになります。

よって、包装の費用の扱いは下のとおりになります。

  • Invoiceに含まれている  →  含まれていて構わない(±どちらもしない)
  • Invoiceに含まれていない → 含まれていなければならない(+する)

問題は、「容器」と「包装」の違いです。
それがわからなければ、「特殊な容器」と「特殊な包装」の区別もつけられません。
簡単な定義でいえば、商品を入れるものが「容器」で、商品を包むものが「包装」と言えるでしょう。
その違いは、「いつまで使われるか」で考えることができ、「容器」は、基本的にその内容物が無くなるまで使い続けられるものです。
一方、「包装」は、基本的にその内容物が入手された時点で剥がされて廃棄されるものです。

出題されたときには、どちらになるのかを見極めてください。

なお、貨物を入れた「コンテナ」は、輸送器具であり、容器でもなければ、包装でもないということは、以前に説明したとおりです。