第50回通関士試験で変わる点
例年通り、7月1日に平成28年度(第50回)通関士試験の試験要項が発表されました。
税関ホームページに掲載されています。
試験の形態が大きく変わるときには、試験要項の発表前に別途発表があります。
(例えば、記述式が無くなった40回試験)
しかし、それはありませんでしたので、マークシート式であることに変わりないでしょう。
もちろん、7月1日現在有効な法令が試験範囲であることも同じです。
さて、昨年の試験要項と見比べて出題数を確認すると、こちらに変更はありません。
通関実務以外の科目の選択肢には、語群選択(虫食い文章)と複数選択(「全て選べ」式)があります。
また、昨年より選択式に1問2点となる問題が設定されました。
その配分がどうなるかは発表されませんが、昨年と変える事情がとくになさそうなので、語群選択1点、複数選択2点と考えていいでしょう。
また、通関実務では輸入申告書の課税価格(5欄分)、計算問題、複数選択が2点というのも昨年通りと考えていいと思います。
このように、出題形式と得点配分に変更の様子はうかがえないのですが、変更になった点もあります。
それが通関実務科目の試験時間です。
昨年までは13:50~15:20の90分だったのですが、本年度は13:50~15:30の100分と10分間時間が伸びました。
延長の理由は、昨年試験での得点率の低さに起因するものかもしれません。
難易度に比して試験時間が足りなかった、そのせいで(財務省・税関が想定する)合格率が下がったので今回は試験時間を延ばした、ととるのは1つの考え方でしょう。
しかし、通関士試験を受けたことのある方ならおわかりでしょうが、この試験の性質として、難易度との比較という点で試験時間が長くなれば正答率がそんなに上がるかというとちょっと疑問です。
実行関税率表から探す手間・時間がかかるということと、知識面や理解面に関係する難易度は別問題だからです。
となれば、試験時間の延長が意味するのは、解答に手間・時間がかかるようになることではないか、という予想もできます。
例えば、税番を探すのが面倒になる(分量が多いとか、類注の読解が大変とか)、課税価格算出の加算要素・控除要素の計算が面倒とかいった可能性です。
もし、手間の面を考慮して解答時間を延ばしたのであれば、昨年度のような合格基基準点の下方修正の可能性は低くなります。
いずれにせよ、たった10分の延長です。
解答プロセスのスピードアップを図るように練習を積むことが求められていると言えるでしょう。