第50回通関士試験の結果2

第50回通関士試験の合格率は9.8%です。
しかし、難易度の評価のためには、これを額面通りに受け取るわけにいきません。
ご存じのとおり、通関士試験には科目免除の制度があり、この9.8%には科目免除を受けての合格者も含むためです。

科目免除には下の2つがあります。

  • 2科目免除(関税法等、通関実務が免除され、通関業法のみで受験)
    通関業者の通関業務又は官庁における関税その他通関に関する事務に従事した期間が通算して15年以上になる者が対象です。
  • 1科目免除(通関実務が免除され、通関業法、関税法等を受験)
    通関業者の通関業務又は官庁における通関事務(税関における貨物の通関事務に従事した期間が通算して5年以上になる者が対象です。

一番難しい科目が通関実務なのは周知のとおりですが、いずれの科目免除者も通関実務が免除されています。
そのため、通関士試験の真の難易度を図るには、科目免除者を除いた受験者と合格者を見なければいけません。
ところが、税関発表では、合格者の総数は出ているのですが、全科目受験者、科目免除者それぞれの内訳は出ていません。
しかし、合格者の受験番号を数えることによって算出することは可能です。

通関士試験の受験番号には1000番台、2000番台、3000番台以降と区別があります。
1000番台は2科目免除者、2000番台は1科目免除者、3000番台以降は全科目受験者を意味します。
合格発表は税関ごとですが、このルールは変わらないので、それぞれの数字をカウントすれば区分別に合格者数がわかります。

これを見ると、第50回では下のとおりとなります。
区分 / 受験者数 / 合格者数 / 合格率 の順で示します。・全科目受験 / 6,131名 / 439名 / 7.2%
・1科目免除 / 660名 / 94名 / 14.2%
・2科目免除  /  206名 / 155名 / 75.2%

一方、前年度(49回)の場合は下のとおりです。
・全科目受験 / 6,689名 / 497名 / 7.4%
・1科目免除 / 696名 / 138名 / 19.8%
・2科目免除  /  193名 / 129名 / 66.8%

※いずれも、私が手で数えましたので、多少の誤差はご容赦願います。

このとおり、全科目受験者の場合、7%台まで合格率が下がる一方、科目免除者の合格率が跳ね上がります。
48回ではもう少し合格率は高いのですが、傾向として、全科目受験者の合格率はぐっと下がり、科目免除者の合格率が跳ね上がることに変わりはありません。
やはり、通関実務の科目がネックであることが、合格率からも見て取ることができます。

今回の結果を見ると、通関実務を受験しない1科目免除者が5ポイント以上合格率が低下したのに対して、全科目受験者の合格率がそれほど変わっていないことに気づきます。
通関士試験は全科目の合計ではなく、科目ごとの合格基準を全て満たす必要があります。
私としては、通関実務科目、とくに、申告書の問題の難易度は、出題で問うている論点の差はありますが昨年試験と同レベル、人によって(とくに学生さんにとって)は昨年以上と感じています。
そこから考えると、全科目受験者は今年、相当頑張ったといえるのではないでしょうか。
残念ながら「もう少しで合格だったのに!」という方も大勢おられると思いますが、この調子で勉強をすれば、ンに度が大幅に上がらなければ、来年度はきっと合格できると思います。

といっても、あまり早くから猛勉強すると疲れてしまいますので、しばらく税関ホームページでの法令改正情報チェックを含めて、忘れない程度の勉強を続けていくといいと思います。